洞察力とバランス感覚
コンサルタントとして日々、様々な経営者と相対する中で感じさせられるのは、どなたも総じて洞察力に優れた方が多いということです。業種業態業容によって、確かに目線の高さは様々ですが、外部のコンサルティングからヒントを得ようとする動機は、多くの場合がその優れた洞察力に基づいているように感じます。
コンサルタントも商売なので、どうしたらサービスの良さを分かってもらえるか、営業的な取り組みが最大のテーマであることは他のビジネスと全く変わりません。他方で、伝えるべきメッセージは伝わるべき人にこそ響いて欲しいと考えると、万人を相手にしたキャッチコピー的な要素はどうしても弱くなり、つい専門的・具体的なメッセージが多くなりがちです。
そんな発信を受け止めて、どうしたら自らのビジネスに生かせるのかを判断できるからこそ経営者はコンサルタントに仕事を発注してくれるのです。
もう一つ、経営者にとって欠くことのできない資質がバランス感覚です。モノが良く見える、先々の事がよくわかるだけでは経営者の資質として十分だとは言えません。経営者は、組織をまとめ、発展させる責務を負っているわけですから、組織の側から見ておかしな判断や行動が目立つようでは責務の遂行がおぼつかなくなります。
人の話をよく聞けて、判断したうえでそれを経営に生かせること。よく言われる「聞く力」に加えてそれを経営に反映させるだけの判断力と消化能力が問われるわけです。ここには人によって微妙な差があるようです。
コンサルティングで、経営者と幹部社員数名のグループを対象としていると、その差が良く見えます。たとえば実在するA社は幹部社員からよく質問が出ます。経営者も時に応じて発言されるのですが、それが幹部社員の思考を左右しているわけではなさそうです。これに対してB社は必ず経営者が発言の口火を切り、幹部社員がそれに続く、というような暗黙のルールがあることが窺えます。
いずれも業績は好調、組織マネジメントにも特に問題のある状況ではないのですが、強いて言えば前者は老舗企業であるのに対して後者は10年未満の新興企業と言う差がありました。
長い歴史の中、経営者が順次代替わりして行く中で、このような風土は次第に形作られてゆくものなのかもしれません。新興企業もやがて老舗となってゆく中で、このような変化が次第に進んで行くものだとするならば、その時々の経営者ができることは、自らの洞察力とバランス感覚を遺憾なく発揮して、企業の成長過程に適合した経営を行うこと、に尽きるのです。
持てる力を最大限に発揮して企業を成功に導こうとする経営者を、当社は常に全力で支援しています。
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