言い方ひとつで
先日、とある温泉地に家族旅行に行きました。全国的に有名な温泉地で、私たちが訪れた際も県外ナンバーの車が目立っていました。私たちが宿泊した旅館は、温泉もさることながら料理やサービスも行き届いており、久しぶりに家族で楽しいひとときを過ごしました。
さて、温泉からの帰り道。昼食をとるために、とある人気店に立ち寄りました。そこは囲炉裏の炭を使って魚や野菜などの食材を直火焼きし、味噌つけて食べるのが名物のお店です。私たちは予約してあったのですぐに入店できましたが、さすがにお昼時ということもあり満席状態で、並んでいる人もちらほらといます。
私たちが席に座ると、ホール担当の方がメニューやお茶などを出してくれます。 皆パラパラとメニューをめくり、それぞれ好きなものを注文し談笑していました。割とすぐに串に刺さった食材が運ばれ、担当の方が焼き方の説明をしながら囲炉裏に串を刺してくれます。ホールの方の声が小さく、説明が聞き取れませんでしたが、聞き直す間もなくすぐに戻っていかれました。
とりあえず炭火なので焼けるのに時間がかかりそうです。それまでの間、思い思いの話をして過ごしましたが、気になるのがホールの方々の怒声です。ピークタイムでお客への給仕がままならない状況なのでしょう。お客からは来ていない品物の催促や、囲炉裏での調理方法、炭火の調整などのリクエストがどんどん入ります。
ホール担当者たちは、みな鬼気迫った状況で仕事をしています。傍から見ていると非常に怖い。ある意味戦場です。私たちの席でも不足していたものがありましたが、なかなか言えるタイミングがありません。変なこと言うと怒られそうです。
その上、新たなお客さまがドンドンと入店をされていて、その案内もうまくいっていない様子。事前に注文を聞いているようですが、かなりの間違いがありそうです。スタッフ同士があちらこちらで揉めています。
皆が一生懸命に頑張っていらっしゃるのですが、それぞれが空回りしている状況です。スタッフのミスを責める、まさに戦犯探しのようなやり取りがなされていて、その場の雰囲気はなかなか微妙な感じでした。
焼き上がった料理は非常に美味しかったのですが、残念ながら食事を楽しむような状況ではありませんでした。
このお店については、スタッフの確保やオペレーションの改善などやるべきことは多々ありますが、まず一番にするべきは顧客接点の改善、つまり接客応対のトレーニングだと思います。言い方や表情によって、その後の結果はまったく異なるのです。これを軽く見てはいけません。
人気店にも意外と見受けられるですが、知ってか知らずか非常に「感じの悪い」お店があります。もちろんどういう接客をするかはお店の自由ではあるものの、お互いが気持ちよく利用できる環境が好ましいと私は思います。
直接的に顧客と接するスタッフの影響力は相当に大きいものです。その対応が悪いだけで商品は台無しになり、会社の評判は落ちます。逆に、どこにでもある商品でも、対応が良ければ一級品に生まれ変わり、会社のイメージも良くなります。今回は久々にそのことを感じるいい経験となりました。
経営者の皆さん。皆さんの会社では、お客様との接点に関わる人たちの対応の仕方を把握しているでしょうか。このレベル次第で、どんな会社でも死活問題になり得ます。常に改善すべき、最重要項目に入れておきましょう。
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