次の事業のアイディアの提案:同業へのサービスを考えてみる。
この時のN社は、注文住宅業とリフォーム業の二つの事業を行っていました。
年商は3億円ほどです。
N社長は、矢田に相談しました。
「先生、この規模のまま、10年が経過してしまいました。」
創業からの20年間、N社長は我武者羅に働いてきました。
最初の10年は、順調に売上げを伸ばしてきました。その後、その成長は、完全に止まってしまったのです。
あれから6年が経過しています。今、N社は、住宅事業で年商8億円、そして、立ち上げた別事業で年商2億円になっています。
N社の、この6年の軌跡を確認してみましょう。
N社長が最初に取り組んだのは、「相手合わせをやめること」でした。
それがあるために、注文住宅業もリフォーム事業でも、すべての工程にクリエイティヴな業務が発生していました。営業、企画、設計、施工管理。
社長がその多くを抱える状態に陥っていました。
その状態を脱するためには、「相手合わせをやめること」が必須です。
それは、言い換えると、「自社の売り物を決めること」となります。
その取組みによって、2年後の年商は、4億5千万円になっていました。
一部完全な注文住宅も残っていましたが、その他多くは「自社の売り物」による成果です。これをこなすための、仕組化、分業の形も進みます。
しかし、この時には、N社長は、売上げの伸びの鈍化も感じるようになっていました。今の商圏である、十万人ほどの人口での限界が見えていたのです。
特に、N社のようにこだわりの強い売り物であれば、それを好む割合は、絶対的に少ないのです。
N社長は、矢田に相談して、隣町まで営業エリアを拡げることを決めました。これにより、対象人口は倍になります。営業所を増やすための仕組化の整備を行いました。
その結果、2年後には年商は7億円近くになっていました。順調な伸びです。
そのころには、N社長は、また別の悩みも持つようになっていました。
「先生、このまま今の事業を拡げていいものでしょうか?」
やはり、この段階で分岐点があります。他の多くの社長同様に、N社長にもその時が来ていたのです。
確かに、事業とは、「出来上がった一つの必勝パターンを、どんどん繰り返すこと」になります。それにより、大きく、効率よく儲けることができます。
そして、経営の目標は、「あるエリア(分野)で、〇〇のシェアナンバー1」をとることになります。
この時、「事業の狙うエリアを、どこまでにするのか」という自問が発生することになるのです。
そして、N社長は言われました。「事業は、エンドレスですね。」
また、次のエリアに拡げます。そこで、集客します。競合と戦い、シェアを取ります。そして、またエリアを拡げます。そして、また、これの繰り返しです。
「この先に何があるのか」の自問が起きて当然なのです。
特に、N社のような、シェアを守りにくいビジネスにおいては。
また、この時には、N社のコンセプトや集客方法を真似する競合も出てきていました。
私は、N社長に、この先の選択肢を3つ提示させていただきました。
一つは、「今の事業のエリアを更に拡げる」。より大きく儲ける、より大きな組織にするには、この選択が一番です。
もう一つは、「今の同じエリアで他の事業を立ち上げる」。いまの事業の関係で新規事業を考えていきます。顧客リスト、業者、そして、社員という、今の資源を存分に活かすことができます。
そして、もう一つは、「同業へのサービスを行う」となります。
同じ戸建住宅やリフォームを行っている同業の会社に、サービスを提供するのです。
私は、この3つ目を検討してはいかがでしょうか、とN社長に薦めました。
もともとN社長は、「何か大きく展開する事業をやってみたい」という願望を持っていました。また、「集客して家をつくって」という繰り返しに、やや飽きと疲れを持っていました。
私の提言に、N社長は、とっさに質問を返しました。
「私は、どんな事業をやればよいのでしょうか?全く想像もつきません。」
私はお答えします。
「はい、私にも、解りません。N社長は、同業者が何で苦しんでいるかは、解るはずです。」
そこには、その業界に身を置くものだからこそ、気づける課題やアイディアが有るはずです。
それから、N社長は、必死に考えました。その結果、一つの事業アイディアにたどり着きました。それは、大きくなる事業の条件を満たしています。
私には、この一つのアイディアを具現化することを、お手伝いすることはできます。
あれから2年経過した今、その事業は、年商(粗利)2億円になっています。
多くの住宅会社が苦しんでいることを解決するだけに、そのサービスは刺さるのです。その分、展開も早くなります。
N社長は、言われました。
「住宅会社は、後継者の息子に渡す準備をしています。私は、こっちの事業を、はやく全国に展開していきます。」
この事業は、別会社でスタートをしました。事務所も別、そして、組織も別です。ここにも、N社長の覚悟があります。
同業へのサービスを考えてみる。
当社のクライアントでは、このパターンは非常に多いのです。そして、非常に成功率も高いのです。
自分が苦しんできただけに、その業界の特性も、その会社の社長が持つ課題も解るのです。そして、営業段階での、アプローチも容易です。また、自社の成果を、事例に使うこともできます。
当社では、次の業界で「同業へのサービス事業」をご支援しております。
建設業、不動産業、システム業、歯科業、中古車販売、事務機器販売、製造業、塗装業、観光業。
ほぼ、すべての業界で成り立つ考え方と言えます。
それどころか、その業界が「斜陽産業」で「縮小傾向」にあるほど、その見返りは大きいものとなります。それは、「苦しんでいる会社」が多いからです。
その業界全体が持つ課題を解決できるサービスを展開できれば、当然成長は早くなります。そして、それは、大概、全国を相手にするビジネスになります。だから、大きくなる余地もあるのです。
そのサービスが、全国に知れ渡り、そして、ある程度のシェアを取るまで、その成長は止まらないことになります。
ぜひ、同業へのサービスを考えてみてください。
そして、そのアイディアを私にぶつけてみてください。
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