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育っているのは、できる人ですか? 稼ぐ人ですか?

SPECIAL

チェーン企業のマネジメントの仕組み構築コンサルタント

株式会社ピアーズ

代表取締役 

マネジメントの仕組み構築のスペシャリスト。
これまで20年以上チェーン事業に身を置き、実際に15の組織のリーダーを務め、200以上の経営に関わり売上、利益を上げてきた経験を持つ。チェーン事業の売上が兆単位の企業や創業40年以上の歴史を持つ企業にさえマネジメント面の仕組みが1つも存在していない事に疑問を持ったことから、チェーン事業に共通するマネジメント面の仕組み構築方法を体系化。その効果は大きく、マネジメントの半ば自動化と質の向上により、クライアント企業は利益2~3倍増、業種によっては仕組み実装の初月から数値を跳ね上げさせる指導を展開している。

「今いちばん稼いでくれてるのは、過去に3社もクビになった人です」

「偏屈な人は大歓迎ですよ。伊東さん、そんな人いたら教えて下さい」

A社長がおっしゃいました。

普通「厄介者はうちには要らないよ」と敬遠されるところですが、他社の何倍もの利益率を上げている企業はそんな人達を探そう、育てようとしています。

理由は2つ。

 ・会社側は「そんな君にしかできない事なんだ。代わりに務まる者がいないんだから」とその人にしかない個性を欲している

 ・社員、スタッフ側は「私はこの会社だからこそ成果が出せている。きっと他社は自分の強みを発揮できるようになっていない」と

お互いに求めあっているからです。

 

しかし多くの企業はクセのある人達よりも、どんな分野でもそつなくこなせるオールマイティーな「できる人」を探そう、育てようというスタイルです。

「できる人」とはどんな人か?といいますと、接客も販売も、清掃はもちろん管理などあらゆる分野において他の人より優れている人です。

それは小売業の商品で表現すると🚬タバコのように優秀な人達といえるでしょうか。

タバコはいつでも、どこでも手堅く売上をあげられる優秀な商品です。

日本たばこ協会が31日に発表した2021年度のたばこ販売統計では加熱式のシェアは30.8%となり、統計を始めた以降3割を超えるのは初めて

と発表がありましたが、興味を示された方はきっと小売業の方が多い事でしょう。

タバコの動向は企業の業績を左右させるほど重要な商品だからです。

どのくらい優秀な商品なのか?

かつて私自身も小売業の社員として約8年ほど働いていました。その私が表現するのならタバコは「人々が食糧難な状況下に陥ってても、バンバン売れる商品」です。

おそらくタバコを吸わない方はこうおっしゃるでしょう。

「嘘でしょ?お腹がすいているのにタバコ買うなんて信じられないぞ」

 

私もたばこは吸いませんが、そう言い切れるのもその凄さを身を持って体験してるからです。私の前職はある大手コンビニチェーンの本部社員でした。東日本大震災が発生してまだ1カ月程しか経過していない時、東京から宮城県女川町まで加盟店のフォローに行った経験があります。

車で震災を受けた地区に入ると景色は一転。道路脇に一切建物は無く、ガレキの山ばかり。この2011年を迎えた日本の都市が、たった1つの地震でここまでになるのか・・・

 「きっと食べていけるか、困っている方はたくさんいるだろう」

 「笑顔になってほしい」

という考えがありました。そしていざ店舗に入り「どうぞみなさんは休んでてください、私達がお手伝いしますから」と連日、休まず働いていた方々に安心していただき、お客様には

 「さぁみなさん、毎日保存食ばかりで飽き飽きしてませんか?」

 「当店は新鮮な商品をご用意できました」

 「押さないで順番にどうぞ、これで元気を出してください」

と鼻息荒く構えていたのですが、最初に言われたのは「セブンスターあるか?」

入荷したばかりの生鮮食品には目もくれずに言われたので「そんな人もまぁいるか」と思っていたところ、食い物よりもタバコが欲しいんだ!という方ばかりが次々にやってくるのです。我々は食べ物を売るよりもタバコの販売に大わらわ。

 「マイセンは? やっぱり無いか・・・」

 「他に何がある?」

 「メンソールはいらん」

 「〇〇〇〇か、・・・それでいいよ 2つね。いくら?」

それまでタバコは確かにどの店でも堅実に売れていたのは重々わかっていたのですが、まさかここまで求められるものなのかと、商品力の高さに改めて驚かされました。 

食べ物がろくにない命に関わる状況下でもバンバン売れる。しかも、近くの小売店には必ずといっていいほど品揃えされている。こんな優秀な商品は他にあるのでしょうか。

しかし逆にそのメリットがデメリットでもあるところが難点です。

タバコが欲しいお客様が選ぶ販売店は、別に特定の企業の店舗じゃなくてもいいからです。

 

オールマイティーなできる人も同じです。

彼らはどこでもやっていける能力がある為、別に今働いている会社でしか働けないわけではありません。どんな企業でも通用するでしょう。なまじ「私は人より仕事ができるんだ」という自覚が高いと「もっと高みを!」と巣立っていく可能性もあります。

実際に「社員がやっと一人前になったか、と思えば辞められる・・・当社はまるで社会人養成学校と化してしまっている」とおっしゃる社長は後を絶ちません。

 

儲かっている企業はそんなどこでも売られている商品や、どの企業でもやっていけそうな人には興味を示しません。

「我社はできる人より、稼ぐ人が欲しいんだ。たとえ口下手でも、売場づくりが下手でも、清掃には人一倍時間がかかってしまう人であったとしてもいい。ただ1つ、稼げればいいんだから」 

そんなお考えのもと、企業のマネジメント面はできる人ではなく、稼げる人が生まれていく環境を今日までコツコツと創り上げてこられて、見事に仕上がっています。

 

一方、経営者に「我社ではこんな社員、スタッフに育って欲しいんだ」という特別なお考えが無ければそこで働く先輩社員、先輩スタッフ達は毎日こんな行動をしていることでしょう。

 「私のように、君達も何でもできる人になりなさい」

 「君はその売場づくりは得意みたいだけど、接客がダメだよね~」

 「あなたはお勧め販売もできないの?」

 「一体いつになったらできるようになるの?」

 「そもそもこの仕事に向いてないんじゃない?」

 

世の中で活躍している人には自分の強みを生かせている方が多いです。

あらゆる専門家がそれぞれの分野の未来をイメージし創り上げている。世の中はそうやって出来ています。そして彼らは「■■は人よりできないけど、〇〇は誰にも負けない」と自らの強みをいかんなく発揮できる職場があります。

もし

 「自社はできる人より、稼ぐ人が欲しい」

というお考えがあれば

「君の強みは何? そうか、それはめずらしいね~ でもあるんだよね~ そんな君だけの強みを増幅できる仕組みが。ホレ、これを使って没頭しなさいな!」

となっているはずです。

 

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