事業の成長段階で訪れる「幸せな踊り場」で何をすべきか
先日のセミナーでお会いしたある経営者の方。事業を始めて数年したところで安定基盤もでき、創業したてのころのように動き回る必要もなくなって時間ができた。それで何をやったかというと、生まれて初めてビジネスプランコンテストに参加したのだそう。
そのコンテストに出したビジネスプランが優れたものだったらしく、その後順調に事業展開をされて今に至る、というお話し。もちろん、いろいろと困ったことや、迷ったこともあったと想像しますが、その順調な事業の発展を語る言葉の背後に、強い自信のようなものを感じました。
「幸せな踊り場」。こんな言葉を聞いたことはないでしょうか。
事業をスタートしたばかりの頃のようにヤミクモに動く必要もなく、それでいて安定した収益が見込めるので、張り詰めた気持ちにもゆとりが生まれる時期。少し油断すると、この快適な状態がいつまでも続くかのような錯覚をしてしまう時間です。
リーマンショックやらコロナ禍やらを経験してきた私たちは、もはや、このような安定した幸福状態が永遠に続くことはあり得ないことを良くわかっています。安定した幸福状態だからこそ、やらなければいけないことがある。冒頭の経営者の場合は、それが新しい事業にチャレンジすること、その第一歩を踏み出すためのビジネスプランコンテスト出場であったというわけです。
「幸せな踊り場」を脱するための手段は、ビジネスプランコンテストだけではありません。要するに新しい可能性を見つけ出すための手段であれば何でも良いはずです。そして、それは新規事業開発だけにとどまらず、組織を見直すという選択をする方もおられるでしょう。
もちろん一人社長のような方は新しい事業展開や既存事業の新しい販促方法を考える方がストレートに効果が出そうです。もし、何人かスタッフを抱えておられるようなら、チーム作りに取り組んでみるというのもありだと思います。
その切り口は組織のありようによって、いくつものパターンがあると思うのですが、優先したいのは、ただたんに仲良しグループを作るということではなく、会社の目的に向かって納得してチームプレイができるような関係を作っていくということです。この会社にいて自分は生かされていると感じられるような環境づくりをすることです。
勢いよく起業し、時代の流れにのって大きく成長した企業は、必ずと言っていいほど、組織の問題を抱えることになります。急激な事業の成長に伴い、質より量を重視した採用した社員たちはだいたいの場合、ばらばらの意識で仕事をします。人の問題というのはいつの時代も難しいのですが、だからこそ放置することはキケンとも言えます。
「幸せな踊り場」で考えたいことはほかにもあります。
自社の商品・サービスをさらに磨き上げること、ブランド化して情報発信力を高めていくこと、志を同じくする仲間とパートナーシップを組み、従来事業とは少しずれた事業を始めてみること。
どれを優先すべきかは迷うところですが、顧客ニーズに基づく緊急度や、経営者ご自身の直感やらに沿って選んでいくことになると思います。どれを選ぶにせよ、会社や事業の大きな青写真に沿った内容になっていることが大切です。
どちらに進むにせよお金はかかるわけですから、無駄な投資にならないように判断したいところです。
冒頭の社長ですが、ビジネスプランコンテストで入賞し、その事業を軸に新しい会社を設立されて、会社の第二ステージに踏み出されました。さぁ、あとに続きましょう。
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