決算書を見て新しいビジネスを始められますか?
皆さんは決算書が出来上がるのが楽しみですか?業績が右肩上がりの企業は楽しみでしょうね。「先期の売り上げは多分○○%アップだな」とか、「利益はかなり増えていそうだ」とか、考えただけでもうれしさがこみ上げてきます。
逆に「決算書を見るのがつらい」「銀行に提出しなければいけないのに、この決算書はまずいな」などと思う方もいるでしょう。
この決算書というもの、過去の数字にすぎません。今期の業績を約束してくれるものでもありません。当たり前です。「何言ってんだ?」と、おしかりを受けそうですが、実は、決算書をにらんで今後どうすれば良いか色々悩む方が多いのです。
しかし、決算書をにらんでも何の解決にもなりません。いや、そもそも決算書を読めない方も大勢います。自分で読めなければ社内の読める人に財務状況を聞くなりすればいいのですが、それもしない方もいます。そうすると経営は放ったらかしということになります。
決算書は過去の数字です。それを分析して問題点を改善することは大切です。しかし、改善では新しいビジネスにはなりません。新しい市場を作ることはできません。
例えば、OEM受託製造の会社が受け身のビジネスから脱却して、独立中小企業の道を歩みたいと願ったとします。この時に、何かを改善してその願いが叶うでしょうか。当然のことながら、そんなことでは願いはかないません。
では何が必要かということです。それは、新しいビジネスを始めるためのしくみです。
「じゃあ改善はしなくていいのか?」とおっしゃる方がいますが、そうではありません。分析や改善と、新しい市場を作ることや新しいビジネスを始めることとは根本的に違うということです。
決算分析から問題点を探り、改善したのち新しいビジネスを始めるための準備をする。これならわかります。ところが、分析や改善ばかりして、新しいビジネスや新しい市場を作ろうとしない経営者の方がいます。これで業績右肩上がりを望むのは虫が良すぎます。
「細井先生、決算書を見ると問題点がゴロゴロ出てきます」
「これを改善しなきゃと思うと、本当に嫌になります」
こう話すのは、最近、当社のセミナーにお越しになった、ある製造業の社長です。
「社長、決算書はいいですが、ショールームはうまく使えているんですか?」と聞くと、
「先生、私は分析が得意なんです」
「だからショールーム関係は部下に任せています」
こんなのダメに決まっています。「何言ってんの?」という感じです。
分析はいいです。間違いではありません。しかし、社長は分析ばかりしていて、新規見込み客開拓を部下にまかせっきりでは、そりゃあ業績は上がらないでしょう。
「社長の仕事は分析をすることではないですよ!」
「その結果を踏まえて、今後のビジネスのしくみを作るのが仕事ですよ!」
このように申し上げましたが、本当に分かったかどうか・・・。
例えば、赤字垂れ流しの体質を変えるとか、合理化・効率化を図るとかであれば、分析や改善は役に立ちます。しかし、くどいようですが分析や改善で業績が右肩上がりにはなりません。
いま業績は安定はしているが、今後の成長が見込めないのであれば、二段ロケットの再噴射の如く業績を上向きにしなければなりません。そうしなければ業績は確実にじり貧です。
前出の会社はショールームを持っていて、それが宝の持ち腐れになっています。なんともったいないことか。このショールームを使って新規顧客開拓が可能になります。また、新しい市場にも参入できます。
社長はしくみを作ることに注力してください。いくら分析が得意だと言っても、そんなことでは大した利益になりません。決算書が読めるということは経営者として必要なことです。ここは間違えないでください。しかしそんなことは部下に任せておけばよいのです。
経営者のあなたは、ショールームを活用して売上を上げるしくみを作ってください。それがうまく回せるようになれば、様々な問題点も改善できるでしょう。
視点を変えてみてください。同じ方向ばかり見ているので視野が狭くなるのです。あなたなら、きっとできますよ。
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