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クレームの行方

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

リアル店舗ビジネスにおいて、お客様からの「クレーム」はどんなに注意を払っても必ず発生します。商品やサービス自体に問題があった場合は当然として、お客様が持つ「期待値」と店舗が提供する「モノ・サービス」にマイナスの差があればあるほど、クレームにつながりやすくなります。

お客様に期待させすぎるのはNGですが、だからと言ってあまりに控えめな発信だと購買意欲はそそられません。この点、店舗側からの情報発信の内容やバランスはなかなか難しく、解決方法としては試行錯誤を繰り返すしかありません。もちろん、優良誤認(品質や性能を誤認させる)や有利誤認(価格や取引条件を誤認させる)を招くような表示はダメですが。

さて、クレームに関しては、私も実際に店舗で色々なお客様の対応をしました。自分のミスや不良品によるクレームの場合は、原因がはっきりしているので対応はしやすいのですが、中には理不尽な要求をするクレーマーも存在します。

その対応を誤ると、2次、3次とクレームの負の影響が広がっていきます。最初は大したことのない問題が、見る見るうちに燃え盛っていくのを何回も体験、目撃しました。ちなみに百貨店やデベロッパーの幹部(の一部)は火に油を注ぎがちです。彼らはなぜか余計な一言を付け足してしまうようです。

クレームのほとんどはミスや不良品によるものです。悪質なクレーマーはそうおらず、しっかりとした対応をすれば、クレームはすべて店舗のプラスに転化できます。無茶な要求でなければ、店舗のレベルを上げるための最も良いアドバイスともなります。

一方、クレーマーとまではいかないまでも、セール等で通常よりも「安価」な商品を購入された方はクレームや要求が多い傾向にあります。「無料で配達して」「無料で補正できるでしょ」「1、2回使用したものを返品」等など…。 逆に、いつも正規の価格で複数点購入されるお客様は特に何も言われず、お客様を紹介してくださるパターンも多くあります。

本来であれば、いつも正規の価格で購入していただくお客様へのサービスを手厚くするべきです。しかし、現場ではセールや低価格で購入されるお客様への対応に時間がかかることが実際に起こっています。この点、店舗にとってはもともと利益が少ない中で、さらなる対応を求められ、「要求の多いお客様」との取引は事実上の赤字になっている可能性もあります。

話は大きく飛躍しますが、店舗のスタッフにも同様のことが言えるのではないでしょうか。言い方はきついですが、会社が求めるレベルの働き方をせず、生産性の低いスタッフからの要求、要望は多い傾向にあります。逆に成果を残すスタッフは何でもかんでも文句を付けず、自分自身で解決しながら、その方法を全体で共有し、自分と会社の成長につなげます。

要求の多いお客様や従業員は、自分の負担は最小限にとどめ、その見返りはそれ以上に求める権利がある。ひょっとしたらこんな価値観が根本にあるのかもしれません。もちろん、同じものだったら安く買える方がよく、誰でもそうすると思います。ただ、何時でも自分だけが得をするような考え方になってしまうと、相手に対して求めることが多くなり、それこそクレーマーのような存在になる恐れがあります。

経営者の皆さん。お客様からのクレームや、従業員からのクレームには会社が成長するヒントが隠されています。ただし、一部は言いがかりや自分本位の無茶な要求です。それらをしっかりと見極め、対応の仕方を誤らないようにしましょう。クレーマーは言いやすい相手を選んでいます。自身の価値基準を持って臨んでください。

 

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