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素直に従う人を求めるほど、会社は伸びなくなっていく

SPECIAL

チェーン企業のマネジメントの仕組み構築コンサルタント

株式会社ピアーズ

代表取締役 

マネジメントの仕組み構築のスペシャリスト。
これまで20年以上チェーン事業に身を置き、実際に15の組織のリーダーを務め、200以上の経営に関わり売上、利益を上げてきた経験を持つ。チェーン事業の売上が兆単位の企業や創業40年以上の歴史を持つ企業にさえマネジメント面の仕組みが1つも存在していない事に疑問を持ったことから、チェーン事業に共通するマネジメント面の仕組み構築方法を体系化。その効果は大きく、マネジメントの半ば自動化と質の向上により、クライアント企業は利益2~3倍増、業種によっては仕組み実装の初月から数値を跳ね上げさせる指導を展開している。

イーロンマスク氏がツイッターを約5兆6000億円で買収したとの報道がありました。とんでもない金額で想像もつきませんが、その金額より驚くべきは彼は投資を上回るほどのリターンを確信しているという点ではないでしょうか。

ツイッター社は今は赤字続きでパッとしませんが、2006年のサービス開始時は自分の意見を気軽に発言できるのに、操作がシンプルという点が画期的でした。

日本人にも愛されてあっという間に利用者数が激増させたわけですが、当時そんなツイッターとは真逆の言動を社員やスタッフに求めるZ社長がいらっしゃいました。

 ・社員やスタッフに意見を持って発言されことはよろしくない事

 ・組織の統率が乱れてしまう

 ・「言われたことを素直にやりなさい!」

常に「素直に!」「素直に!」が口愚でした。

ここまで聞けば「その企業は一糸乱れることなく結束されてそう」「業績は良かったのでは?」とご想像される方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際には業績は伸び悩んでいたのです。

その理由は「素直に従う」という事は「自分の考えや意見を主張しないこと」であり、それは社会の進化と逆行していたから

Z社長の企業は他社に比べて店舗の立地はかなり良いところです。

ビジネス街、繁華街の要所にありましたので客数は他社と比べて一つ抜けていました。

ところが経営はといいますと根っからの高コスト体質。

せっかく売上は高いものの、会社にお金が残っていかない状態です。

社長はその原因として社員、スタッフが「私の言った事を素直にやらないからだ」と捉えていました。やたら「素直に!」と連呼していた理由はそういう背景があったからです。

しかし社長は腕組みをしつつ足を汲んでふんぞり返っているわけでもなく、教育には熱心で精力的でした。まるでアスリートについている専属コーチのごとく常に二人三脚状態です。

どのくらい熱心か?と言いますとある日社長はこうおっしゃいました。「伊東さん、自分が死ぬ時は店の中で死にたい。社長!大丈夫ですか? お前ら、後は頼んだぞ・・・と」

社長がそんな熱い人ですから、一人前の社員やスタッフが次々に生まれ、儲かっていってほしいものですが、社員やスタッフは定着せず入れ替わりが激しかったのです。まるでその企業は社会人養成学校状態。「基本的な事はあの企業で学んできてくれたのね。ヨシヨシ」と図らずも周辺企業へのうまいトスをあげてしまっている状態でした。

この経営スタイルは30年前なら他社を抜きんでた数字を出せている経営方法と言えたでしょう。なぜなら流通チェーンビジネスは「店さえ開けていれば儲かっちゃう」と言ってもいいくらいの成長時代でしたので、いかにお客様に満足いただけるか?よりもいかに次々にやってくるお客を捌けるか?従業員は休む間もなく対応を求められたからです。「ここはどうやるんですか?」と従業員はお客様をお待たせしてはいけないと、教わるのに必死です。リーダーが常に現場にいない企業よりも「どうした? ここはこうするんだ」と傍に居て教えてくれるスタイルは「助かるなぁ、頼りになるリーダーだ」と捉えられ、効率的にも精神的にも優れていました。

やがてそんな時代は終わり2016年2月26日、総務省統計局が平成27年国勢調査の人口速報集計結果を発表した際、 日本の人口が1920年の国勢調査開始以来、初めての減少となりました。

あらゆるビジネスはいかに客を捌けるか?から、いかにお客様個人個人にご満足いただけるか?客数より客単価に焦点を合わせなければならない新たな時代に突入したのです。

一方、IT業界も進歩し各SNSが爆発的に利用者数を増やしていき、2016年はTwitter国内利用者が4,000万人を超えました。

それまで「言われたことに忠実に従った方がよかった時代」から「誰もが意見を持って気軽に発言、発信でき、それに賛同、反対する時代」になったのです。

 

さてここで質問です。

あなたはビジネスとプライベートにこんなギャップがあったらどう感じるでしょう?

 ・仕事場では「意見など持たなくていい。素直に言われたことをやりなさい」

 ・プライベートでは「ネットを通じて誰もが自由に発言し、いいねを集めている」

 

ギャップはあって当たり前でしょ。仕事とプライベートは分けて考えるべきなんだから。と明確に区別して上手に生きている方もいらっしゃるでしょう。

忘れてはいけないのは「人は比較しちゃう生き物」だという事。

自分が質素な暮らしをしているのに、お隣さんが腰を抜かすほど豪華な暮らしをしているとやはり気になってしまうもの。少なくとも差を付けられている側に精神的にプラスの要素はありません。

問題なのは「何でも自由に発言できて、しかも周囲からいいねと賛同を得られている人っていいなあ~」など、人はただ「いいなぁ~」だけで片付けられないところです。

なぜなら嫉妬はやがて疑問に変わるからです。

 「なぜうちの会社は発言さえ許されないんだ?」

と社内の何人かがおかしいぞ?と感じ始め、それが続きますと

 「職場で自分の意見が許されないのはおかしいのでは?」

など、今度は疑問が窮屈感に変わります。ついには

 「何も言えないこんな職場じゃやってられない!」

などと窮屈感は怒りにまで変化していきます。 

 

ではSNSがあって当たり前の今、求められる企業のマネジメント体制はどういった形なのか?

それは「自分の意見を自由に発言することができる職場であること」です。

ただしこれはできていて当たり前のこと。

実現できたとしても、いまだ「言われたことだけをやれ!」という企業は多いですから、業績は他社よりも少し良いくらいの結果は出していけるでしょう。

 

では他社を差し置いて圧倒的に稼ぐ企業はどんなマンジメント体制なのか?

それは

 ・怖くて気軽に言えない事もズケズケ大っぴらに発言でき

 ・ポツンと「いいね」をもらう程度ではなく「こんなリターンまでもらっちゃっていいの?」と本人は感動する程

 ・周囲の人達は「いいね」ではなく「あの人は凄いな!」「自分もそうなりたいぞ!」とうらやみ、夢を抱く程

といった形です。

 

実はZ社長のその後はといいますと、見事に社内のマネジメント体制を変え、会社の収益は従来の倍以上にできたのです。

社長はこうおっしゃいました

 「他人に叩かれないようにと慎重な発言ばかりで、リスクの無い安全圏の仕事ばかりをする社員など、うちには一人も要らない」

 「一歩間違えれば周囲から総攻撃に合う危ない言動ばかりのヤンチャな人が集まって欲しい」

 「手に負えない暴れ者がいたら教えて下さい。当社はウェルカムです。」

 「当社は曲者、まがい物大歓迎ですから!」

 

御社はいかがでしょうか?

 「言いたいことがあっても我慢して、素直に従いなさい」ですか?

 「発言はしてもいいけど、めったなことは言うなよ」でしょうか?

それとも「SNS以上に言いたいことがズケズケ言えちゃう職場」ですか?

 

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