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DX化の指標=「特許の数」だ!

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

先月のことですが、当社のコンサルティングの中でも大きな割合を占める「業務プロセス可視化」について、その作業を圧倒的に合理化するためのソフトウェア「簡単プロセスビルダー」で特許権を取得しました。私はソフトウェア特許・ビジネスモデル特許については、比較的永い経験があるので、その中での一つのトピックスにすぎないのですが、このニュースを取引先に連絡したところ大きな関心を寄せる方々がいらっしゃいました。その方々からの代表的な質問は「特許化すると何か良いことがあるのですか?」というものでした。

これはごく自然な疑問だとは思いますが、実はDXと特許は切っても切り離せないものなのです。DXについてはこのコラムでも何回も話をしていますし、ちまたでも言われている様に・・・

単なるIT化に留まらない

会社のビジネスそのものをデジタルで別モノに変えてしまう変革

という表現に要約されます。ここで、「変革」という単語がありますが、まさにそれが特許と切っても切り離せないのです。今までとは全く違う姿のビジネスに変革されてしまうわけですから、それは基本的に「他社もやっていないこと」、「業界や業種で初めて実現されること」をデジタルの力を使って成し遂げてしまうことになります。これは当然知的財産として、権利化した上でモノマネをされないようにガードするのが当然ですね。だから特許を出願することになるのが自然な流れなのです。

例えば私が過去関わった特許の中には「インターネットでの値引きの仕方」の発明があります。お客さまがECサイトで商品を選んでいる時、サイトでの行動をソフトウェアで検出して自動的な仕掛けで値引きが提示したり、関係する商品が自動提案されるような機能です。要するに自動拡販機能と言える発明です。この売り方が他社で実現されていなかったので、自社の権利にするために特許を出願したのですが、これは、ごく自然な流れだったと思います。

特許権が有効な期間については、他社は真似をすることができない、真似をすると訴えられるかもしれないので、同じことを容易に実現することはできなくなります。有効期間中、ずっと自社が競争に有利な状態を保つことがでるので、他社がやっていないことを特許にすることは自然な流れですし、良いことづくめですね。

ところが、実はここに心理的なハードルがあります。というのも、日本の経営者は伝統的に「特許=モノや製法」という強い思い込みを持っている方が多く、「目に見えない・無形のものであるビジネスモデルやソフトウェアの動き(≒アルゴリズム)」を特許にする、という発想に至らないことが多いからです。また、特許出願することに決めて、実際に特許の書類を書いている際、構造や原理を図に示す必要がありますが、そもそも無形のモノなので図にすることが高いハードルになります。それが故に途中で諦めてしまう人も多いもの。

しかし、これらのハードルを越えて晴れて特許権が取得でき、実際に特許証が手元に来た時、それは「特許庁の審査官が”見たことが無い”、とか”他に類例が無い”というお墨付きを出してくれた」という意味を持ちますので、自社の改革が公的に認められた=「会社のDX化の成果」と言えるわけです。裏返せば、いくらDX化を進めたと思っていても、一つも特許が取れないようであれば

・直ちにまねをされる程度のものだった・・・

・そもそも変革でもなんでもなくただの改善レベルのアイディアだった・・・

と言えます。そう考えると、「特許の数や質は会社のDX化度を表すバロメーターである」と断言しても良そうです。

皆さんの会社でも「DXが進んだなぁ」と思われることがあれば、再度知的財産権の発想で見直し、特許化できるかどうか検討してみてはいかがでしょうか?それが様々な理由で直ちに否定されてしまうようであれば、DX化がイマイチかもしれませんし、改革ではなく改善である、と言えると思います。この観点で一度見直しをされてみることをお勧めします。

 

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