親子経営 繁盛と繁栄の秘策 子供がすべき7つのこと⑥
友のこと
時代の流れとともに漢字や言葉の意味が大きく変わっていると言われます。例えば「友」という言葉は孔子が生きていた時代と今の時代とでは随分とその意味合いが違うようです。
孔子が生きていた紀元前500年頃の「友」とは正に命を懸けあった関係であり、あいつの為なら自分の命を捨てても本望であるといった間柄であったようです。それに比べ現在では遊び友達、飲み友達などなかにはフェースブック友達などというものまであります。
私がここで言う後継者の持つべき友とは中国古典の時代の命がけとまでは言いませんが、それでもそう軽いものではなく信頼、信用、信義を感じられるような友を持ってもらいたいということです。
私は7年前に事業のストレスから慢性骨髄性白血病を患いました。その半年後経営をしていた企業グループを法的整理をすることになりました。当初は自分の気持ちをコントロールすることができず随分苦しみました。
まさに私の人生の最大の転換点でした。これから何をして生きていったらいいのかなど、初めはまるで考えられる状態ではありませんでした。その当時のそんな私を支えてくれたのは妻と子供たちでした。
そして私を心から応援、支援してくれたのが友人たちでした。子供のころからの田舎の同級生、高校、大学の友人そして青年会議所時代の先輩、後輩などでした。彼らのおかげで妻と二人の会社を立ち上げることができました。
論語の一節、「己に如かざる者を友とすること無かれ。」とあります。友だちをつくるならば自分より出来がいい者にしなさいということでしょうか。そしてどんなひとを友だちにすればいいのか、また友だちにしてはいけないひとまで教えてくれています。
「孔子の曰く、益者三友、損者三友。直きを友とし、諒を友とし、多聞を友とするは益なり。便辟を友とし、善柔を友とし、便佞を友とするは、損なり。」と親切に説明してくれています。
友達にすべき者に三種類、友達にしてはいけない者に三種類あります。正直で実直なひと、誠実で真心があるひと、教養があるひとを友達にすべきであり、媚びへつらうひと、うわべは柔和で実は誠意が無いひと、口だけたっしゃなひとは友達にしてはいけないと随分具体的に教えてくれています。
私が子供の頃は小学校の先生から、誰とでも仲良くしなさい、友達は選んではいけないとよく言われたのを覚えています。2500年前、孔子が言ったことと真逆のことを教えられていました。
その後、長年に渡って小学校の先生の言葉の呪縛から解けずにいました。大人になるにしたがい、あれおかしいぞと思うことが多くできてきました。人間関係の悩みの原因のひとつがまさにここにありました。
無理をせず自分が心から信頼が出来るひとだけを友とすればいいのだと思えるようになって初めて気持ちが軽くなりました。経営者となれば実に多くの人と出会うことになります。
その出会いの中からかけがいのない「友」と呼べるひとをひとりでも多く見つけてください。人生最大の危機に陥ったとき、あなたの本当の「友」が姿を現します。そのときになって初めて気づくかもしれません。自分が想いもしなかったひとが「友」だったと。
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