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言葉の力

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

言葉には相当な力があります。人に勇気を与えたり、失望させたり、行動を促したり、感動させたり‥。皆さんも経験があると思います。それは誰かからアドバイスや、手紙、本の一節、映画のセリフ、歌詞、あるいは広告のコピーだったかもしれません。

いずれにしても、その時の自分にぴったりとはまる言葉が目の前に現れたとき、人は感情が動かされ、さまざまな反応が引き起こされます。これは会社経営においても言えることで、経営者が言葉の力を十分に理解し、言葉の力を最大限に発揮させることは、会社の成否、また顧客や社員の幸福度や達成感を左右する最重要なファクタ―となります。

「優れた文章は、言葉が消え、対象が浮かび上がる」

(参考〈新版〉日本語の作文技術 本多勝一) 

この文を読んだとき、私は相当なインパクトを受けました。仕事柄、経営理念の策定支援をはじめ、経営に関わるさまざまな事柄を言語化します。そもそも、コンサルタントはその言葉で価値を生む仕事でもあります。

この点、普段から言葉には気を付けているつもりですが、言葉が消えるほどの適時的確な表現にはまだまだ程遠いと感じます。それでもそのレベルに到達できるように、日々、自分自身の言葉を磨いていく必要があると反省しています。

ここでお伝えしたいのは、テクニックが大事ということではありません。むしろカッコつけた流行り言葉や使い古された言い回し、自分でも意味がよくわかっていない言葉を使うのは逆効果で、自分の考えをシンプルかつストレートに伝え、相手に伝わる言葉を使うのが大事であり、実はそれが最も難しいということです。

経営者は一方的に話しがちです。相手に伝わっているかどうかではなく、自分が言いたい事だけ発言して終わり。私も経営者の立場でそんな振る舞いをしていた時期がありました。当然言葉には気を付けず、相手に伝わるどころか誤解を招き、揉め事が一つ増えるだけ‥。特に怒りなど強い感情が入った場合、相手に何かを伝えるどころの話ではありません。

感情はもちろん大事ですが、入りすぎると言葉が乱れ、相手にも伝わりづらくなります。この解決策を一つ挙げるとすれば、会議・打ち合わせ・個人面談などの前、ノートでもメモ用紙でもパソコンでも何でもいいので、「自分が伝えたいことの文字起こし」をお勧めします。さらに可能であれば、書き起こした内容を第三者に確認してもらうとなおいいでしょう。

面倒くさいと思った方もいるかもしれません。ですが、一旦文字として書くと、自分の考えを客観的に見ることができます。加えて、第三者に見てもらうことで、誤解を招くような表現を避け、より相手に伝わる内容にブラッシュアップできます。一連の流れを繰り返すことで、自分自身の言葉の使い方が磨かれていきます。

「優れた文章は、言葉が消え、対象が浮かび上がる」

これが実践できるようになれば、字面だけで表面的なコミュニケーションから、より本質的な価値を伝えることができるようになります。仕事・プライベートのムダな揉め事は、そのほとんどが消え去ってしまうでしょう。

経営者の皆さん。まずは難しく考えず、シンプルで意図が伝わる言葉を使いましょう。変な言葉の装飾は誤解を招く要因にしかなりません。幹部や経営パートナーとともに地道な量稽古が言葉の力を身につける唯一の道です。

 

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