「正しい意思決定」と「効果的な意思決定」の違い

マネジメントは意思決定の連続です。

「商品開発」「集客」「顧客満足度」「採用・人事」等、すべての戦略や施策は意思決定の上に成り立っています。

従って、意思決定によって、「物事がうまくいくか」、「結果を出せるか」を決めていると言っても過言ではありません。

特に接客・サービス業の場合は、商品を売るのも、サービスを提供するのも、人であり現場のスタッフ達です。

彼らが「売りたいと思うのか？」「やりたいと思うのか？」によって結果が変わるのが接客・サービス業の大きな特徴です。

しかし、私が現場の声を聞く中には、リーダーが勝手に決めた売上対策で、メンバーが「やっても無駄」だと思いながら取り組んでいるようなケースもあり、成果に結びつかない意思決定も多く見られます。

私が前職の婚礼支配人時代にも引出物や演出など、様々な企業から新商品の提案を受ける機会が多かったのですが、私は利益率の高い商品を採用し、メンバーに積極的に販売するように指示をしましたが全く売れませんでした。

何故だと思いますか？

それは、スタッフ達の意見は何も反映されておらず、スタッフ達にとって「売りたい商品」ではなかったからです。

これらの事から学んだ接客・サービス業における現場の意思決定で重要な要素は、

・その意思決定にどれだけスタッフや現場の意思が反映、尊重されているか？

・その意思決定に、どれだけスタッフの納得感があるのか？

このプロセスを踏んでいるかどうかで結果は全く違ったものになるということです。それでは、具体的にどのような意思決定のプロセスが必要なのでしょうか？

まず、大切なのは「リーダーがひとりで勝手に決めない」という事です。

私が経験したことは、まさに私が勝手に決めて失敗した典型的な事例です。

その後、私は意思決定の方法を変え、ある写真屋から結婚式の写真アルバムの提案を受けた際も、各メンバーの意見をまずは聞き、それも踏まえた上で意思決定をしたところ大ヒット商品となりました。

また、新しい婚礼料理メニューも、それまではシェフから提案されたメニューをそのまま採用していたのですが、スタッフに意見を求め、改善点をシェフと相談しながらメニューを創り上げたところ、料理単価がそれまで13,000円だったところが16,000円と3,000円も上がりました。

これらの事からも、メンバーを意思決定に巻き込み、現場メンバーの意向を汲んだ意思決定をするだけで大きな成果の違いになることが分かります。

そして、具体的なスタッフへの意見の吸い上げ方として、私はよくポストイットを使って、スタッフに意見を記入してもらい、発表、共有をしてもらいます。

ポストイットに記入させることで「自分の考えをまとめられる」こと、またポストイットに書いたことを発表することで「他メンバーの意見に左右されない」というメリットがあるからです。

その他にも、メールで意見集約したり、回覧にして記入してもらったり、ラインでアイデアを収集したり、やり方は様々あり、集まる機会が無くても意見収集の仕方は幾らでもあります。

しかし、時にはリーダーとして、メンバーの意見を集約したものと、違う意思決定をするケースも当然あります。

その場合は、自分の信念に基づき、みんなに胸を張って説明すれば良いのです。

大切なのは、「メンバー一人ひとりの考えをリーダーが理解しているかどうか」であり、このプロセスがあるかどうかで納得感が全く違うのです。

つまり、リーダー自身の考える「正しい意思決定」ではなく、組織にとって「効果的な意思決定」をするというリーダーの意識と意思決定のプロセスの構築が結果を劇的に変えることに繋がります。

あなたは、効果的な意思決定ができていますか？

 

※本コラムは、著書「接客・サービス業のリｰダーにとって一番大切なこと」（PHP研究所）を再編集して掲載させていただいております。

 

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