新商品が売れない原因は、顧客の先入観?
新商品が売れない場合、売れる前提条件を読み誤っているケースというのが多々あります。
その前提条件というのが、見込客が抱いている先入観です。
商品を売り込む前には、その価値を受け入れてもらう前提条件が必要です。
例えばサプリを販売する場合、不足しがちな栄養素を経口摂取する必要がある…サプリは食品を補完するもの…という認識を見込客があることが、売れる前提条件となります。
しかし、
「栄養素が不足しても快活な健康生活が送れる」
「サプリで食事は補完できない」
という先入観があったら、サプリは売れません。
売れる土壌、前提条件がないのですから、商品を売り込む前に、まずこの先入観を取っ払う必要があるのです。
この為の2つの手法をご紹介しましょう。
一つ目は、ショッキングな情報をセットにして、価値観の上書きを行える場合です。
大塚製薬がポカリを新発売したときの事です。
顧客側の先入観は、スポーツ中に水分を補給するのはナンセンス…という常識がありました。
広告投資が膨大にできる大企業でも、「水分補給は必要なのです」と言っても買い手の心は動きません。
スポーツ中に水分をとってはいけない…という先入観を覆すには、+αの情報では効き目が弱すぎるのです。
ところが、ここにお医者さんを登場させて、「スポーツ中に水分補給をしないと脱水症状になる」などの事実を謳うと、急にいままで抱いていた常識が不安になります。
さらに「脱水症状による事故例」などのショッキングなニュースをメディアが取り上げれば、過去の先入観はリセットされ、新しい先入観が上書きされていきます。
権威を動かし、メディアの力を利用する。
この条件が整えば、市場の価値観は塗り変わり、新商品が売れる土壌が出来上がっていくのです。
もう一つは、よくよく考えてみれば違うかも…という常識を気づかせることができたときです。
10年以上前の記憶なのでうる覚えですが…日本橋にある「紀ノ重(きのしげ)」という居酒屋さんが見事にこれを行っていたのを記憶しています。
確かメニューにこんな文書が書かれていました。
「市場から魚を買うとどうしてもお客様の口に入るが翌々日になってしまう…どうしたら港町の食堂で食べられるような美味しい魚が出せるだろうか…その答えが漁師さんとの直接契約だったのです」と。
そして、「今朝穫れ鮮魚(けさどれせんぎょ)」という新しい言葉を生み出し、他店の魚よりも鮮度が良いから美味い!というイメージをつくり出していました。
これは完璧なアプローチだ!と深く感銘を受けたのを思い出します。
このように、よくよく考えてみると今までの常識は違うよな…と簡単にイメージできるものであれば、ちょっとした工夫だけで過去の先入観をリセットして、新しい先入観を上書きできます。
過去の常識はナンセンスで、新しい常識の方が正しいかも…
そう認識され、これまでの先入観や常識がリセットし、新しい価値観に書き替わった時に、新商品(新コンセプト)が売れる土壌が出来上がっていくのです。
しかし、この常識が覆せないまま商品やサービスを売っても売れるハズがありません。
お客様が、スポーツ中に水分を取るのはダメだ!と思っているのに、スポーツ飲料を売る事はできません。
お客様が、市場で買った魚は鮮度がイイ!と思っているのに、今朝穫れた魚が美味い! と謳っても優位性(鮮度の)を認識させることは出来ません。
商品を売る前に、まずは先入観を変えなければ、売れるものも売れないのです。
御社では、顧客の先入観を意識した営業戦略を組み立てていますか?
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