無形の資産=ブランディングの基が成されていなければ、儲かる形にはならない。
「我々はものづくりは得意だがコミュニケーションは不得手で、プロダクトアウトの側面が強かった。商品開発には積極的に投資をしてきたが、さらなる成長には、コミュニケーションやクリエイティブといった無形のものに積極的に投資をし、ブランド価値を高める必要があると判断した。」
「実は2011年に父から会社を引き継いだときからリブランディングは考えており改革を積み重ねてきた。創業70周年の節目に外に向けて大きく宣言した。」
これは、2022年3月2日の日経MJに掲載された新潟県燕市の家電メーカー、ツインバード工業社長・野水氏のインタヴュー記事です。
経営のなかにブランドという無形資産をいかに組み込んでいくのか。
このテーマからの記事で、これは当社のコンサルティング指導にも深く通じるものでした。さらに、自社商品数も半分にする・・・という大英断を下したそうで、その狙いについても語られていました。
「商品点数を半分にするということは、単純計算すると売上や利益が半分になる。そのために残した商品一つ一つの売上高を増やさなければならない。新しいターゲットのお客様に向けて商品の付加価値を高めていく必要がある。絶対にヒットするだろうと思って投入した商品が売れない苦労もあった。組織が揺れ動いた時期もあった。チャレンジして失敗することを是とする組織風土がなければ改革はできない。」と。
大きく変わろうとされる、強い意志が伺える言葉です。
商品を半分に減らす一方、新しい自社ブランドとして「匠プレミアム」「感動シンプル」という2つのブランドを立ち上げられ、匠の全自動コーヒーメーカーは4万円台と高額。どんなブランドを目指しますか?と問われた回答がこれです。
「新商品が出たからすぐに買い替えるといった消費スタイルに変化が起きている。生活者は今持っているモノを長く大切に使おうという気持ちが強くなっているようだ。」
「そこで生活者と長く付き合えるブランドを目指す。毎年のようにモデルを変更するのではなく、時代に左右されずにずっと安心して使ってもらえる製品を提供していく。こうした考えに共感してくれる小売店との信頼を築き、この世界観を売場で表現したい。」
どんなによい商品でもその価値が消費者に伝わらなければ売れません。新しいブランドをどのように訴求していきますか?の問いには・・・
「パーパス(存在意義)やビジョン(将来ありたい姿)を全社員で共有する作業から着手した。例えば『品質』という言葉ひとつの解釈をとってみても人それぞれに異なる。会社のパーパスと各経営メンバーの人生のパーパスが合致しているかを含めて擦り合わせが重要だった。実際にマーケティング活動を行うのは社員たちだ。社員全員にアンケート調査し、何度も議論を重ねて『ではこのパーパスやビジョンで事業に取り組もう』と決めた。こうして組織の基盤を整えた。」
この社長のインタビュー回答、どうお感じになったでしょうか?
当コラム内でここまで記事を引用することは滅多にないのですが、このツインバード工業および野水社長の取り組みは、メーカーならびにメーカーポジションの独自商品で勝負する中小企業すべてに通じる今あるべき姿、未来に向かっていく姿だと強く共感したので、一語一句をそのまま記しました。
実際、当社コンサルティングでも新たなブランドづくりや商品づくり、またリブランディングの指導を行い、それらをアウトプットさせています。それらはアウトプットされれば目に見える形の有形の資産になりますが、前段のインプット段階では無形の資産です。有形になる前の無形の資産が最も重要で、先のインタビュー記事にあった、以下のことが何より先なのですで、もう一度記します。
・パーパス(存在意義)やビジョン(将来ありたい姿)を全社員で共有する作業から着手
・会社のパーパスと各経営メンバーの人生のパーパスが合致しているかを含めて擦り合わせが重要
・何度も議論を重ねて『ではこのパーパスやビジョンで事業に取り組もう』と決めた。こうして組織の基盤を整えた
自社内だけで簡単にできることではありません。変わらなければ!という相当の覚悟と、時には外部の力=第三者からの視点も必要になるでしょう。当社のコンサルティングでもさまざまに着手する前に、同様なことを最大3か月かけて行っています。
なぜ、そこまでの時間を要してまで、無形の資産づくりに取り組む必要があるのか?
向こう5年10年、いやもっと先まで売れて儲かる=顧客に支持され続けるため=企業繁栄のための ”事業基盤” を組むことを目指すしていただきたいからです。
最後に・・・。
先の野水社長はブランディングのことをこのようにも述べられていました。
「ブランディングはまさに日々の筋トレのようなものだ。お客様の声を聞いて真摯に受け止めることの繰り返しだ。コールセンター業務は外部委託せずに本社、それも開発本部のすぐ近くに設けて社員が対応している。製品開発にすぐにフィードバックするためだ。日本橋の自社ビルでは体験型のショールームやカフェを運営している。この10年間で、お客様の声をほぼ毎日シャワーのように浴びられる道具立てに投資してきた。」
「さらに21年11月には直販サイトを立ち上げた。結局、変化への対応はお客様のことをどれだけ理解できているかに尽きる。継続していく。」
新たなブランドが出来た!、新商品が出た!。これらのことはスタート地点に過ぎません。ここからが儲かる事業になるのか否か、本当の勝負が始まります。
着実に、強い意志を持って、常に顧客と向き合い付き合い、ブランド発表後もさまざまにブラッシュアップを続ける。無形のブランド価値を評価されたその結果として、手に入れたい未来へ繋がっていくのです。
ギフト化で成功・成長したい熱い志と、大いなるチャレンジ精神を持った経営者、経営者層の方のために、当社はいつでも門戸を開いています。
どうぞ、門を叩いてみてください。心よりお待ちしています。
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