一人で悩むな
店舗を開業する際、「野性的な勘のみ」を働かせて突っ走る経営者の方は意外と多くいらっしゃいます。初期投資は大体これくらい‥ 原価は大体これくらい‥ 家賃はこれくらい‥ 来店客は大体これくらい‥ と、頭の中だけで数字が展開し、「なんとかなるでしょ」と適当なタイミングでエイヤッとオープン。
ちなみに、この「エイヤッ」については、経営者にとって絶対的に必要な決断力です。ま、それはさておき、あまりに甘いシミュレーションでは、オープン後に高い確率で「こんなはずじゃなかった」となります。
お客さんが少ない。売上が取れない。バイト代が払えない。利益が出ない。返済が重い‥ 負のスパイラルに入ってしまうと、抜け出すのは容易ではありません。もちろん、シミュレーションしたからと言って、売上が高くはならないのですが、それでも先々の数字が前持ってわかっていれば、その場しのぎではない対策が立てられます。
そもそも業種業態問わず、新規事業がシミュレーション通りにいくわけがなく、いかないからこそのシミュレーションです。様々なシミュレーションの結果、現実的かつ網羅的にまとめられたものが事業計画となります。
経営者、特に創業者は感情的で野性的タイプの方々が多い印象です。だからこそリスクを厭わず創業するわけですが、その反面、思考を形にするのは大の苦手です。つまり言語化や数値化が得意ではない。事業計画とはビジョンの言語化、数値化に他なりません。
この点、経営者一人で事業計画をまとめあげるのは、まさに「ミッションインポッシブル」な仕事です。事業計画策定をはじめ、目的に向かって組織をスムーズに動かしていくためには、大将に軍師がつくように、経営者にも参謀役が必要だと私は考えています。
創業後、一人で悩んでいる経営者は多く、ようやく重い腰を上げて相談したタイミングでは「時すでに遅し」となっている場合も少なくありません。金融機関や公的機関など、活用できるものは活用した方が良いのですが、それ以前に、ごく小さな兆候を読み取って、適時的確なアドバイスをくれるパートナーを持つことの方が重要だと私は思います。
私もアパレル小売事業を経営していますが、当初は相談できる相手もおらず、後手後手の対策で本業に集中できず、金策で右往左往した時がありました。自分がやりたいことに集中するためには、経営パートナーは必要な存在であると断言できます。
会社をうまくかじ取りするには、経営者の経験に培われた野性的な勘が絶対に必要です。と同時に、それを後ろから支える「論理」も必要となります。一人二役ができればいいですが、ほとんどの人には無理難題です。
経営者の皆さん、ぜひ信頼できる経営パートナーを持ちましょう。盲点への気づき、目標達成時期の前倒しなどの効果を体感でき、5年10年後の姿が見違えるものになります。
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