お金を残す経営に必要な資金繰り改善

お金が足りなくなったら、「とりあえず銀行に相談しよう…」「資金調達さえできれば、なんとかなるはず…」と、多くの社長は考えます。

もちろん、今すぐ資金ショートしそう…ならば、とにもかくにも、資金の手当てが最優先です。すぐに銀行に駆け込む…それも課題解決のための、一つの選択肢です。

ですが、そもそもの大前提として、資金繰りがひっ迫し、資金不足の状態に陥ってしまうのなら、資金繰りに奔走する前に考えなければならないことがあります。

それは、「なぜ、資金が不足しているのか？」「なぜ、資金繰りでいつも悩んでいるのか」という根本的な問題点についてです。

当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関なので、多くの二代目社長・三代目社長などの後継社長さんがご相談にお見えになります。そして、実は後継社長さんほど、注意が必要です。

なぜなら、「先代社長の時から、資金繰りで悩むのが当たり前」、「祖父の代から、いつも資金ショート寸前なんだけど、なんとか資金が回っている」など、本来は、すぐにでも解決しなければならない状態にも関わらず、悪い意味での慣れが生じている場合があるからです。

問題の芽は、時間が経てば経つほど、深刻化していきます。経営の現場において「時間が解決してくれること」はありません。

資金不足で頭を悩ませている会社の場合、掘り下げて、抱えている問題点を整理していくと、多くの場合、問題の本質は、「資金」「キャッシュ」だけではありません。

つまり、社長自身が感じている「資金」「キャッシュ」の問題は、あくまでも表面的な問題であるということです。問題の本質は、もっと別のところに潜んでいたり、複数の要素が密接に絡み合っていたりするものです。

資金繰りの悩みをお持ちの社長さんは、多くの場合「資金が足りない…」「資金繰りが苦しい…」と感じます。ですが、それは、あくまでも表面的なひとつの症状であって、根本的な問題点ではないという事実に気づくこと。これが最も重要なことなのです。

例えば、咳が出ていて熱っぽかったら、素人なら「風邪かな？」と考えます。でも、医療のプロであるお医者さんに診てもらったら「肺炎だった」なんてことはよくある話です。

大切なのは「咳」は、あくまでも表面的な一つの症状であって、根本的な問題点ではないという事実です。

「咳が止まれば大丈夫」と安易に考えて、咳止めの薬を飲んでも症状は絶対に改善しません。なぜなら、根本的な問題点である肺炎という真の問題点に気づき、肺炎の治療をしない限り、その病は治らないからです。

大切なことなのであえて申し上げます。目先の資金繰りをその場限りの対策でしのいで、目の前の資金ショートを回避すること自体は、あくまでも単なる対処療法にすぎません。

根本的な課題解決をしない限り、繰り返し同じ問題が現れます。

根本的な課題解決、つまり、社長自らが「財務」の実務を知った上で、財務の視点から、真にお金が残る財務構造に自社を変革しない限り、その問題から解放される日はやってきません。

最も大切なことは、目先の対処療法ではなく、根本的で本質的な「自社の真の課題」と向き合うことです。

借金が増えた根本的な理由を社長自身が知らないまま借り続けていくと、当然、同じような借金が増え続けます。その結果、気づいた時には、銀行に借金を返すためだけの会社になっていた…ということは、意外なほど多く存在するのです。

社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。

あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか？

ダイヤモンド財務®コンサルタント　舘野　愛