目標のないところに成長はない
3月になり、年度末が近づいてきました。多くの会社が令和3年度の決算期を迎えます。決算といっても経営者的には「ほぼすでに分かっていた数字」を精緻化し、確認する作業にすぎないわけですが、意外と軽視されがちなのが「目標との差異をしっかり分析する」というプロセスです。
ある程度の企業規模になると、金融機関や役所との関係もあり、予定と実績の差異分析は必須の手続きになるのですが、忙しさの中でついつい数字合わせに終わってしまうこともあるのではないでしょうか。
ここで申し上げたいのは「魂の入っていない数字には意味がない」ということです。その数字は何を物語るものなのか、なぜその数字を追求するのか、どうなれば良しとするつもりだったのか。目標を作る段階ではしっかりと意識できていたはずの基本的な考え方が、決算段階ではすっかり薄れてしまっている、ということがよくあるのです。
赤字や未達の場合には「何故なのか」をまずしっかり突き詰めることになりますが、特にスルーされがちなのが予定通りにそこそこ黒字だったような場合です。
予定通りだったことに特別な意味なんかあるのか?と聞き返されそうですが、予定をそのまま実績に変換する行為は決して簡単なものではありません。それをしっかり成し遂げた上に、実績を一年分積み上げたわけですから、特に金融機関との関係を考えればそれは大きな前進と言えます。それを正しく評価することで、はじめて次の年度の目標を説得的に語ることができるようになります。
目標に対して大幅な前進があった場合にも、それは何故なのかをしっかり振り返るようにしてください。そして新年度の目標をしっかり見直すようにするのです。出発点を明確にしておくことは、変化への対応を検討しやすくするという効果があります。
市場環境は日々変化しています。実際に令和3年度にはほぼ影響しなかったウクライナ問題が、令和4年度には早速暗い影を落としています。それなのに「前年度同期並み」のような無反省の目標を立ててしまうと、目標そのものが重みを失い、社内のモラールに負の影響を及ぼすことにもなりかねません。
前年度の目標と決算の差異分析に基づいて新年度の目標を説明できること。これこそが決算期の経営者に求められる最低限の能力なのです。目標の無いところに成長はない。目標に真剣に取り組む経営者を、当社はいつも全力で支援しています。
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