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社内に埋もれたDX人材を探せ!

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

「DX人材は社内にいる」という主張を何回か繰り返してきました。先日経済新聞に掲載されていましたが、非DX部門の社員の5人に一人の割合でデジタルの素養がある、という調査結果でした。この数字は当社の掴んでいる肌感覚の割合に非常に近いものです。ただ、「素養がある」というだけで充分な経験があるわけでもありませんし、実務を推進するための知見があるわけでもありません。実際にDX化の戦力にするためには、これらの人達に対する充分な教育や活躍の場の提供が必要となりますが、その前にこれらの「素養のある人達の特定」が必須です。それはどうすれば良いのか…。

ここで、改めて先ほどのニュースに戻りますが、

 デジタルの素養がある = DXポテンシャル人材

という非常に単純な論調で語られていました。これについて異論を唱えることは致しませんが、実はこの図式は完全なものではなく、以下の様に考えるべきです。

デジタルの素養がある または デジタルを活用できる様に物事を論理的に考えられる = DXポテンシャル人材

DXは商売と直結した考え方を持たないとDXとは呼べません。単純に作業を合理化するだけではなく、Digital Transformationの熟語が意味する通り、変化を伴うべきものです。それも抜本的に・改革的に、です。その際に必要となる素養は、単なるデジタル技術だけではありません。

デジタルの知識があることはアドバンテージですし、世の中にあるデジタル技術のトレンドをつかみ理解する力と知識欲が必要なことは確かですが、もっとも必要なことはデジタルによる改革ができるチカラ、つまり「自社のビジネスをそもそも論で考えることができる」ことです。デジタルの知見があるからと言って、ビジネス改革できる人を意味することはできませんね。この様な人達を発見し、実際にDX化にOJTでチャレンジさせることがDX化の一番の近道なのです。

では、この様な人達はどうやって発見できるのでしょうか?この為には2段階の選考が必要です。まず第一段階ではビジネスを論理的に考えることができるチカラを評価します。これは何もテストとか面接とかが必要なわけではありません。社内の様々な討論の場で発見できるはずです。

何回も言いますが、DXはデジタルを使った変革です。デジタルを使う為には非論理的な考え方は廃する必要がありますし、ヒトが介在するビジネスモデルであってはなりません。そのためには、様々な事象や課題解決に対して常に論理的に考えることができる能力が必要です。理由や背景が曖昧なまま何かの施策に打って出る、といった行動は論理的ではありませんし、もし直感でそのような言動をとっているのであれば、おそらくDX化には不向きな人材です。

論理的に物事を考えられる人材を探すことができたら、次の段階に進みます。それは、「最新のトレンドをキャッチアップできるチカラ」による選考です。「最新をキャッチアップできる人」・・・実はこのような人達にある一定の共通項があります。「新しいものが好き」です。新しいモノ・・・例えば新しい先端的な家電、デジタル小物、最新の安全装備を備えた自動車、無料でも使える便利な最新のクラウドサービス等々、新しいモノやサービスが出たらすぐに飛びつく人達です。

このような人達は、手にしたものを周囲に広めようとする(または自慢しようとする)ことが多いので、皆さんの身の回りにも何人か思い当たる人がいると思います。時として、会社の事業とは全く異なる分野の「新しいもの好き」さんかもしれませんが、DXは「異なる分野の施策を組み合わせて新種の化学反応を得る」ことの大きな概念でもあるので、分け隔て無くそのような人を探すのです。

「うちは宿泊業だから、デジタル小物とは全く関係無い」と反論される方もいらっしゃるでしょう。しかし、宿泊施設にIoT関連機器を導入したらどうなるか?真剣に考えれば斬新なアイディアが出るかもしれません。自動車の安全装備も、レーダーやセンサー、カメラを何種類も組み合わせて機能を実現しているので、それぞれの技術がどのようなものなのかオタクなら知ろうとするはずです。そしてそれらを自社の改革・変革に応用できるかもしれません。話を簡単化するならば「社内で様々な分野のオタクを探せ」ということになります。

このように2段階で選考した社員を組織化、チーム化、委員会化し、DX化を進めることが中小企業にとってハードルの低いDX推進のための経営アクションとなるのです。皆さんの会社の中にもきっと優秀なDX化人材候補が発見できると思います。一人でも発見できれば、その人を中心に伸ばすことができますね。社外のチカラを借りる為にも社員による受け皿は必要なので、まずは1名発見することが肝要です。是非回りを見回してみてください。

 

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