「社長営業」に必要なこと
「社長の居場所は社長室ではない、お客様のところである。」とは、かの一倉定先生の名言ですが、会社の業種・業態・規模の大小に関わらず、社長が負うべき第一の責任が営業であることに異論を唱える人は多くないと思います。でもその際、お客様との交渉で何を確かめるか、社長として置かれた立場によってその内容は大きく変わってきます。
もしもあなたが社長で、客先に出向いて話すことの全部が納期・品質・価格に関することだったとすると、あなたの立場は明らかに「出入りの納入業者」だということになります。いわゆる固定客との付き合いにおいてはごく普通のこと、だと言えます。
でもこれが、新規の見込み客だったらどうでしょう?納期・品質・価格さえ折り合えば、これまでのように固定客になってくれる、という確信はおありでしょうか?
4月から衣替えする東京証券取引所では、これまでの一部に代わって登場するプライム市場において、上場企業により一層の情報開示が求められるようになります。その網は、サプライチェーン管理にまで及ぶもので、たとえば納入業者起因のCO2排出量についても報告に盛り込むことが求められるようになります(ただちに削減措置を講じろ、とまでは言われませんが・・)。
変化は深く大きな波となって世界経済を動かしつつあります。この流れはいずれ中小企業にも及ぶと見ておくべきでしょう。そのような社会にあって、社長は営業で何をすればよいのか?
見込み客との交渉で、その会社が正しく時流を捉えているのか、そうでないのかを見極めておくことは、長期の変化に備えるうえでとても重要な要素になります。その意味で、社長はなるべく「上の人」と意見交換の機会を持つようにされてください。できれば先方のトップと一対一で、理念あるいは哲学(つまり「考え方」です)について握る機会を持つことが重要になってきます。
考え方の部分で「なるほど」と思える相手とは付き合いを深める、そうでない相手との付き合いは適度な距離を保つ。人間の行動として基本中の基本にあたる態度ですが、ビジネスでこの考え方を実践するのはなかなか骨の折れる話だったりします。なぜなら、世の中には札びらで人の横っ面を叩くような仕事をする人たちが大勢いるからなのですが。
直接会って、話して相手の器を見極める。社長に課された営業責任の中でも、実は最も重要な部分がこの仕事なのです。そのために必要なのが、自らの信念とそれを表現するコトバなのです。あなたが自分を開示することでこそ、相手の考えを見せてもらうことができるからです。
最大の営業責任を果たすべく、自らの信念とコトバを磨こうとする経営者を、当社は常に全力で応援しています。
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