変化は、数値化して可視化すれば最強の営業マンになる
ビジネスの多くは、顧客に対して便益の増加を提供することで成り立っています。中にはトラブル解決やダメージ軽減などを提供するビジネスもありますが、それとてマイナスを緩和するという便益であると整理することができます。
ところが安定的な取引がスタートしてしまうと、顧客側も事業者側も、そこに便益の「増加・減少」がありえることをつい忘れがちになります。つまり、今月も先月と同じ品物を同じ量だけ配達すれば良い、ということで一見変化がない取引に見えてしまうからです。
ここで「もしも事業者が提供するビジネスがなかったとしたら」と考えると何が見えて来るでしょうか?その場合、競合他社による同等の便益提供が最も想像しやすいシナリオでしょう。でも、現実的にそうなっていないわけですから、そこにはたぶん何らかの不利益が伴っていると推察することができます。この不利益の解消こそが、事業者として御社が提供できている強みなのです。
毎回の差はごく小さなものでも、時間軸に沿って長い目で見てゆくと大きな差になるのはよくあることです。
繰り返される継続的な取引の中では見えてこないこの強みは、数値化して可視化することで新規顧客を説得するための強力な武器になります。仮に御社の製品を使うことで、材料1トンあたり100gのCO2削減が実現するとしましょう。そうすると、材料1万トンではCO2が1000トン削減されることになります。
欧州ではCO2の取引価格が80ユーロ/トンくらいに高騰していると言われていますが、そうなると1000トンでは1千万円内外の差が生まれていることになるのです。年間1千万円のコストダウンを言われて振り向かないユーザーはいないでしょう。
ポイントは、このロジックを裏打ちするデータをいかに収集できるかという点にあります。机上の計算だけではどうしても説得力が弱くなるため、現実のデータをもとにしたプレゼンテーションに落とし込む必要があるからです。
そう考えると、毎月同じような取引をしている安定顧客も含めて、実績データをしっかりと押さえておくことの意義が見えてくると思います。このような技術的データは、後から追いかけても得られないことが多いので、取引を始める段階から自動的に情報が集まってくる仕組みを作っておく必要があるのです。先週水曜日のランチメニューを覚えている人が決して多くないことを想像すれば、その理由はお分かりいただけると思います。
期待できる変化を数値化して可視化することが、最強の営業マンを生むことにつながるのです。そのためのデータ取りを抜かりなく実施する経営者を、当社はいつも全力で応援しています。
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