組織のIT化 現場社員が「そもそも…」を考えられるかどうかがキモ
特急や新幹線に乗ると、車両の前後ドア上に電子掲示板があって次の駅とか行き先が表示されています。行き先や次の駅の情報は、日本の電車では「これでもか!」というぐらいに社内アナウンスされることでも有名。日本語に加えて英語での電子アナウンスもあります。若干こもったような電子音声のこともあるので、人によっては聞き取りにくいかもしれません。そんな人の為なのか不明ですがその電子音声の後、肉声で車掌さんが同じことを繰り返しアナウンスする、ということには少々驚きます。なぜなら…
・常にサインで次の駅の情報を出しているので、そもそも音声アナウンスがどうして必要なのか?
・電子アナウンスで音声連絡しているのにも関わらず、なぜ人間がもう一度アナウンスしないといけないのか?
確かに視覚障害者の方が乗っていれば、音声が唯一の情報源になるので便利でしょう。しかし、それでもなぜ肉声でもう一度アナウンスしないといけないのか?「1回アナウンスしただけでは聞き逃すかも」ということなら、電子で復唱すれば良いのでは無いでしょうか?おそらく「いやいや、人間がちゃんと話しをした方がホスピタリティーを感じて頂けるじゃないですか!」という意見も聞こえてきそうです。
しかし、世界的に考えると日本のアナウンスは非常に過剰です。いわばガラパゴス化していると思うのです。視覚障害を持っていない方については、電子掲示板の表示で充分ですし、「それだと寝過ごしてしまう」という方はご自身のスマホのアラーム機能などで対応すればよろしい。もし、繰り返して確認したい乗客が多いのであれば、そんな乗客向けのアナウンスアプリとか用意すれば良いとも思ってしまいます。色々考えるとそれほどお金をかけずとも乗客にも乗員にももっと便利で合理的な方法が結構容易に開発できるのではないかと。
しかし、現状が長年そのままである状況を鑑みるに、多少うがった見方をすると、もしかしてこれは現場が思考停止しているのではないか、とも疑いたくなってきます。そもそもアナウンスは乗客の為の情報提供サービスです。それを日々改善して強化し、便利にしつつ業務も同時進行で効率化させてゆく。これが本質ではないかと思います。つまり現場がいつも「そもそもこれは・・・」と細かいレビューを自発的に繰り返すことができる環境とモチベーションを醸成するのが経営者の役割ではないかと思うのです。
社内アナウンスをしている車掌の方のいろいろな理由はあろうかと思いますので、上記は全部暴論である可能性がありますが、私は「アナウンスの為の外国語を学ぶのではなく、真に困っているお客様とのヒューマンコミュニケーションとそれを迅速丁寧に解決するための工夫の為の時間」に少しでも振り向けて頂くことこそ、乗車体験の価値向上に繋がるのではないかと思うのです。「そもそも・・・」活動です。現場担当者が自分達のやっている日々の仕事のを「そもそも」というキーワードで見直しをすることこそ、IT化だけでなく組織の変革や発展の為に必要なことなのだと思うわけです。
「そもそも無くして変革無し」…どこかで聞いたことがあるフレーズですが、社内アナウンスを聞きながら頭の中でこのキーワードがぐるぐると回り続けました。
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