先行した会社しか生き残れない?DX化がもたらす業界の急変
DXについての様々な話を聞きます。その中には、Digital Transformationと呼ぶよりは、単なる合理化目的のシステム化であるものが結構高い率で混ざっていて、なかなか全体動向が見えづらいことも事実です。今まではとかく製造業のDX化のニュースを聞くことが多かったのですが、1か月ほど前にあるお客様とともにその業界(詳しくは述べられません)での事例を調べたとき、驚愕の事実が判明し、お客様と大いに刺激を受けました。
その業界は複数の老舗大手企業の競争場なので、中小の新規参入は規模的にも非常に難しい業界として有名です。特に日本ではデジタル化が遅れている分野であり、関係省庁も旗振りに必至になっています。研究機関とともに推進することが条件となっている助成金の額も大きく、「やりようによっては面白いことができそうだ」とは思っていました。ただ、業界全体が巨大で古いため、私自身もその業界への目配りを怠っていたことはちょっとうかつでした。
DX化について少し調査してみたところ、ちょうど調査の数か月前に大手が試しに「DXネタてんこ盛り」の商品を販売したニュースが見つかりました。その販売実績をいろいろ調べてみると、驚いたことに「全く同じ基本性能の2つの商品を、片方はフルDX化、もう片方は従来通りの仕様」で、フルDX化したほうは値段が若干高い(それでも利益は十分に上乗せしている金額)という値付けで販売された様です。これはもはやテストマーケティングですね。ところがその売れ行きが驚愕もので、従来品がいまだに売れ残っているのに、フルDX化したほうはあっという間に完売したようです。かかわっている機器メーカーからのニュース発信も含まれていましたから、話半分に受け止める必要があるかもしれませんが、それでも少し調べるとフルDX化したほうはすでに販売していませんでしたので、売れ行きがよかったことは事実の様です。
その時期から急に競合する他社の動きも活発化しており、DX化商品の販売事前告知が増えていました。先行する企業を放置できなかったわけですね。
しかも注目すべきは、そのニュースの前後から、DX化に必要なデジタル機器メーカーの動きが激しくなっていることも確認することができました。大手電機メーカーの動きも活発化しているようで、急激に競争が立ち上がったことがうかがえます。
この状況を見ていて、お客様とも「今やらなかったら数年後は危険だ」と判断し、速攻でDX化プロジェクトの立ち上げを進めることになりました。まだ先行企業は数少ないので急いで対応すれば間に合いそうです。まだまだ稚拙なDX化しか実績として出てきていないので、うまく良いアイディアを出してキャッチアップすれば主導権を握るチャンスも残っています。逆に言えば、アンテナがもう少し低かったら手遅れになってしまったかもしれません。
それにしても、四半期の中だけで様々な会社が巻き込まれつつ業界全体のDX化が始まったことは驚愕の事実でした。重ねて言いますが、業界全体のデジタル活用が全く進んでいなかったので、本当に急に始まったとしか言えません。この動きについていけず、あと数か月~1年今までと同じものを販売していたら、急激な販売不振に陥る危険性大です。
そんなことが、他の業界で今にも起きる可能性が高い。そうなった時、準備を何もしていなかった会社はどうなるのか…。自明の理ですね。業界の性質にも関係するとは思いますが、「うちの業界はDXとは程遠いし…」と思っているのはちょっと危険です。「どこよりも早く…」など望まない経営方針であったとしても、少なくともアンテナを高く上げて何か動きがあったらすかさず行動する。これぐらいの用意は無いといけないでしょう。
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