行動につながる問い
先日、とあるサービス業の経営者と約1年ぶりにお会いしました。訪問コンサルが目的で、この1年の話を色々とヒアリングしながら、課題の整理とアクションプランのたたき台づくりをサポートしてきました。
ヒアリングした結果、課題が1年前とほぼ変わらない状況でした。つまり、昨年も課題に対する施策を立案したにもかかわらず、何も実行がなされていないのです。
当社の課題は、大まかに言えば「事業所の認知度向上」、「社内コミュニケーションの改善」で、昨年も今年もほぼ同様です。皆さん日々の仕事に忙殺されていて、なかなか施策に手が付けられなかったのは理解できます。が、一歩も進んでいないのはちょっと驚きました。
このまま何もしないでいると、いずれ厳しい状態になるのは明らかです。それでも「今、何となく売上も取れているし、そこまで落としてもいない」状況は、誰に対しても変な安心感を植え付けます。当社もまさにそんな状況でした。
企業がピンチに陥る際、急激な状況変化が起こるのはまれです。その大半は真綿で首を締めるように、本人も自覚をしないまま、じわじわと窮境に向かっていきます。いつの間にか二進も三進もいかない状況になるのです。そうならないためにも、施策の愚直な実践は必要不可欠となります。
そもそも施策自体は、そんなに手がかかるものではありません。例えば、「チラシの作成」など、施策の大半は事前にスケジュール調整すれば可能なものばかりです。今回は確実に着手していただけるように、ミーティングにて「行動につながる」話し合いを重ねました。
ミーティングの際、「なぜできないのか」という問いは必ず失敗を招きます。できない理由を挙げても残念ながらできるようにはなりません。そもそもできない理由などいくらでも作れます。この点、行動に結びつけるには「どうすればできるか」という問いに切り替える必要があるのです。
「どうすればできるか」という問いは、アイデアを出しやすい雰囲気を作り、前向きな答えが出るポジティブな問いです。これに対し、「なぜできないのか」はネガティブな詰問です。やっていないことで相当な悪人に仕立て上げられるイメージです。モチベーションはさらに下がり、行動に結びつくことはまずありません。
経営者の皆さん。「どうすればできるか」という問いを重ねるミーティング、進捗管理、作戦会議などの「場」づくりは企業の規模に関係なく絶対的に必要です。ぜひ健康的な強制力を働かせて、最低でも月1回の「場」づくりを行ってください。このクオリティタイムがあることで、1年後、2年後、3年後の姿が見違えるようになります。
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