御社はどの段階にあるのか?組織レベルを確認してみてください。
不動産業M社は、コンサルティング4か月目に入りました。
「先生、管理者を採用したいのですが、募集をかけていいでしょうか?」
私は、「まだ早い」ことをお伝えしました。
それでも、M社長は、次の出店の予定があるからと募集をかけました。
そして、次のコンサルティングの時に、報告があります。
「採れました。優秀な管理者候補です。」
そして、2か月後。
「先生、彼は違ったようです。思ったほどではありませんでした。」
それ以降、その管理者の話は出なくなりました。
コンサルティング開始から一年が経ちます。先日、思い出し、彼はどうなったか訊くと、「彼は、よくやってくれています。」と答えがありました。
下記と照らし合わせることで、自社の組織レベルを測ることができます。
レベル1:作業層が機能していない。
現場に社長が入っている状態です。また、一部の優秀な社員に業務が集中しています。多くの社員は、その二人の補助的な業務をしています。
広告製作やシステム・設備の開発、注文住宅というクリエイティヴの高い事業で陥りやすい状態です。
レベル2:判断層が機能していない。
日常の業務は、一般の社員で回せていますが、いざ何かあるとすぐに社長や優秀な社員に、お伺いがあります。作業は出来ても、自分達で適切な判断ができないのです。
これは、食品メーカーや不動産業などで、起こる傾向があります。
レベル3:管理者層が機能していない。
一般社員と判断層で、現場は回せています。しかし、部署の目標達成や仕組みの改善に継続的に取り組んでいる管理者はいません。それを担っているのは、社長だけです。(多くは、社長も出来ていない。)
また、管理者が居たとしても、実際には判断層であり、組織は、先のレベル2程度なのです。工事業の多くの会社で、見られる現象です。
レベル4:社長を含め経営層が、経営者の仕事を回せていません。
3年4年先を見越した動きが出来ていません。社長としての役目を習得できていないのです。
そのため、複数の会社を持ったとしても、全部を社長一人が回している状態です。経営層を動かす仕組みになっていないのです。
上記と照らし合わせることで、自社の組織レベルを測ることができます。
そして、どんな会社も、この順番でレベルを上げることになります。
レベル1の「作業層で現場を回せる」ようにします。そして、レベル2の「現場で起きるイレギュラーに対し判断できる」ようにします。ここまで来ると、本格的な拡大に移ることができます。広告を倍増し、営業担当を増やしたりします。
事業の展開とは、三角形の底辺を広げることを意味します。
複数の作業者と判断者をいちユニットとして、それを量産していきます。多くの人と、売れる商品と売る仕組みを共有します。それにより、三角形の上の経営層と管理者層の生産性は格段に上がることになります。
そして、大急ぎで「管理者層を機能させること」になります。
分業が進むと、其々の部署を管理する役割が必要になります。また、増える売上げに合わせ、急いで仕組みを作り変える必要があります。その役割を担う管理者層を「量産」することになるのです。
そして、より大きくするために、経営層を充実させます。
社長と同じレベルで動いてくれる人材を複数人確保します。彼らとチームとなり、事業を作っていきます。場合によっては、別会社の社長も担ってもらいます。
我々が目指すのは、このレベルです。年商10億という規模の事業を行うためには、ここまでの組織にする必要があります。また、この先の長くエキサイティングな事業家人生を送るためにも、その習得は絶対なのです。
其々のレベルには、それぞれの仕組みが必要になります。この四階層を動かす仕組みは、全く別物なのです。
だからといって、それをバラバラにつくることはありません。それでは、機能しないのです。一緒に繋げながらつくっていくことで、それを短期間で得ることができます。基本的な骨格ができるのに1年、そして、定着するまで2年です。3年が経つ頃には、その世界が当たり前になっています。
不動産業M社は、コンサルティング開始から4か月になります。
M社長は、少し焦っていました。次の出店を2か月後に控えています。其々のエリアを押さえるためにも、出店を急いでいたのです。
M社長は、矢田に相談しました。
「先生、管理者の数が足りません。補充のために募集をかけていいでしょうか?」
私は、お答えします。
「いま管理者を採用しても、機能させることは無理でしょう。」
管理者を動かすためには、それなりの仕組みが必要になります。
まず、「案件の流れが見える」ようになっていなければなりません。また、「業務の基準が明確である」必要があります。そして、なによりも、管理者の仕事が「定義」されていなければなりません。
管理者でさえも、その多くはルーチンワークなのです。
毎月何をやるのか。毎週どのようなサイクルで、何をチェックするのか。そして、日々の動きはどのようなものか。
このように管理者の仕事も、明確に定義されている必要があります。
それでも、M社長は、募集をかけることにしました。
その結果、「管理者候補」を採用することができたのです。
M社長は、言いました。
「彼は優秀です。間違いありません。」
私は、「そうですか、良かったですね。」と答えました。
そして、2か月も経つ頃に、M社長から報告がありました。
「先生、彼は違ったようです。管理者の器ではなかったようです。」
私は、再度確認することにしました。
事業モデルが固まり、内部の仕組みづくりの段階です。管理者を動かす仕組みは、全く出来ていないのです。そして、社長自身も管理者の役目を理解していなければ、その動きのイメージも持てていません。
これで管理者が機能するはずが無いのです。
「これは、彼の能力の問題ではありません。こちらの問題です。こちらに管理者を使う力がないだけなのです。」
コンサルティングの導入から一年が経ちます。
売上げは伸び始めています。各店舗は、一般社員と店長で、十分回っています。私は、気になっていたことを訊きました。
「彼は、どうしていますか?」
M社長は、すぐに誰のことを訊いているのかを察しました。
「はい、よくやってくれています。当てになる存在です。」
彼は、本部の一人として、業務をこなしてくれています。決して目立つタイプではないのですが、依頼されたことは、確実に実行してくれます。マニュアルをつくったり、各店長のサポートをしたりしています。周りの社員の信頼も厚いのです。
これが、管理者が機能するということです。
管理者イコール優秀というものでは無いのです。そこそこの能力とやる気(責任感)さえあれば、十分に管理者というポジションはこなせるのです。
管理者というポジションにおいても、仕組みなのです。
当然、能力の差はあります。しかし、それは、管理者を動かす最低限の仕組みという基盤ができた後の話です。
管理者を動かす仕組みが得られると、当然のように管理者が機能するようになります。管理者を増やすことができます。また、若手もそれに習い管理者に育っていきます。
そうなると、会社は、快進撃を始めることになります。
年商3億が、翌年4億、そして、6億、10億と、毎期140%の伸びを実現することになります。その成長を支えるのが、組織なのです。
組織を得てください。
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