資金繰りで悩む会社に共通する社長の勘違い
2022年がスタートしました。あなたにとって2021年はどんな一年でしたか。
ここ近年はずっと、いわゆる「コロナ融資」が活況ということもあって、その資金を元手に苦境を乗り切る社長さんもいれば、未来に向かっての事業投資に活用する社長さんもいたりと、実に様々です。
そのため、何か資金的な不安が出てきたら「とりあえずコロナ融資で…」という風潮があり、とにもかくにも「とりあえず資金さえ持っておけば安心…」という声も聞きます。
もちろん資金が潤沢にあること自体は、決して悪いことではありません。資金不足になるよりは、潤沢なキャッシュを手元に持っていた方が安心して経営に集中できます。
ですが、だからといって、何も考えずにただ資金だけ持っておけば良い…というわけではありません。本質的な財務を知らない状態のままで、単純に借金で増えた現金だけを見て「ウチの会社は資金が潤沢」と思っていたらどうなるか…ということです。
ここ最近、現実に起きていることですが、財務を知らない社長さんほどカンチガイをしてしまって、社長自らが自社の経営を悪化させています。
最近では、既にコロナ融資の返済がスタートしている会社もあります。
この「返済」を見据えてしっかりと準備できている会社と、ただ無策なまま表面的な資金繰りだけしか見えていない会社とでは、後々天と地ほどの差が出てきます。
正しい借金であれば、借金を活用することによって時間を買うことができますし、そこから得た利益から借金返済ができます。
ところが赤字の穴埋めが目的の借金返済の場合は、一体、どこから支払うのでしょうか…ということです。
自社の根本的な問題点と向き合うことなく、ただ目先の課題解決だけのために、単純に手元にキャッシュさえ確保すればオッケー…というほど、経営の世界は甘くはありません。
大切なことなので申し上げますが、そもそも「資金繰り」というのは、あくまでも表面的に見えているひとつの症状であって、「根本的な問題ではない」ということです。
どんなに表面的に「資金繰り」を改善するための手を打ったとしても、それは、あくまでも短期的・近視眼的な打ち手でしかありません。時間が立てば、いずれメッキがはがれて、本当に解決すべき根本的な問題点が繰り返し目の前に現れ続けます。
誤解を恐れずに申し上げれば、もし、仮に、目先の資金繰りの不安が払しょくされたとしても、自社のビジネスが根本的に、お金が残らない、利益がでないものであれば、5年経っても、10年経っても、経営は苦しいままです。
仮に、目先の資金繰りが回っていたとしても、本当の意味での自社の経営課題が解決されていなければ、経営の質が上がることはなく、いずれ資金は尽き、銀行にも見限られてしまいます。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
2022年を飛躍の年にするために、あなたはどんな未来への一手を打ちますか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。