一年の計、十年の志、百年の夢
新年あけましておめでとうございます。難局と言われつつも大きな災害もないまま何とか乗り切った感のある2021年でしたが、新しい年に様々な思いを託されている方も多いことと思います。
新しい年の初めには、ぜひ未来に向けたビジョンを社内で共有しておいてほしい、私は常々経営者の方々にそうお伝えしてきました。よく、「一年の計」と言いますが、経営者と従業員のそれは大きく異なるということをご認識いただきたいと思います。なぜなら、それは心を砕くべき収入の構造が大きく異なるからです。
従業員のそれは、ほぼ固定された給与と賞与に依る場合が多く、一年を通じてしっかりと金額を予測することができます。その代わり、それが増えることもありません。
それに対して経営者が第一に意識する要素は、まあ役員報酬という場合もないとは言いませんが、圧倒的に会社の売上です。一年を通じてある程度の見込みは立つものの、成長期は特に確定的な予測が立ちにくい場合が多いのです。安定期の会社であっても、客の顔とおおよその取引金額までは分かっても、実績を締めてみないと金額は確定しませんし、入金月の時期ずれが発生する業種もごく普通にあります。
そんな中、一年の計を共有することでおのずと浮かび上がるのが短期の経営課題とも言うべき営業面の取り組みです。これを共有することで社内の意思統一を図るための、年初はとても良い機会なのです。年頭所感や全社新年会などを活用して、ぜひ課題の共有を図っていただきたい。
加えて新年は、従業員ならずとも未来に思いを馳せるマインドセットが自然に出来上がっているという意味で、通常とは異なるインプットが可能になります。一年の計だけではなく、会社として目指すべき十年の志についてもぜひ経営者の思いを従業員に伝えていただきたいと思います。
さらに言うならば、時代を超えた思いについてもぜひ従業員の関心を惹起してみることをお勧めします。高知工科大学の西條辰義先生によると、アメリカのイロコイインディアンは、重要事項を決定する際に七世代後の子孫がどんな影響を受けるかを勘案してものごとを決めるのだそうです。
サステナビリティへの取り組みが問われる昨今、重要な視点は長期で未来を見つめることによって養われます。この視点ばかりは、一年の計でも、十年の志だけでも不十分で、人類社会のことをまじめに考えることでしか磨かれないのです。
さすがに七世代先のことは見通せないかもしれませんが、私は三代先・100年後の夢について経営者がどう考えているか、イメージを従業員と共有することにも大きな意義があるのだと言っています。そしてそんな問いかけが自然と頭に入ってくるのも、年初ならではの効用だと言えるのです。
年の初めに社員と夢を共有しようとする経営者を、当社はいつも全力で支援しています。
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