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自然と自己開示できる会社を目指す

SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社

代表取締役 

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

中小企業における自己開示とは

「自己開示」と言葉を聞くと、どんなことをイメージされるでしょうか。

私が従来考えていた「自己開示」とは自分をさらけ出すことです。つまり、本当は他の人にはしゃべりたくないけれど、恥ずかしい経験や封印したい過去などをあえて話すというイメージです。心理的にもかなりハードルが高そうな感じですね。

でも、自分が考えていた「自己開示」とは違う意味での「自己開示」があることに最近気づきました。

その「自己開示」とはありのままの自分でいることです。言いたくないことは言わなくていいし、逆に思ったことや感じたことはその通りに表現する。つまり、「自然体でいる」ということです。どうでしょうか?この「自己開示」なら少し意識すればできそうな感じです。

では、これを会社に置き換えるとどうなるでしょうか。

中小企業の場合、上場会社と違って会社の実態を開示する場面は限られています。

毎年税務署には決算書を提出しなければなりません。けれども、税務署が関心あるのは利益を不当に隠していないかどうか。悪意を持って脱税していない限り、それほど自己開示を意識しなくても大丈夫です。

次に銀行。銀行から借入する場合、決算書は当然のこととして、試算表や資金繰り表といった資料の他、どんな取引先があって、いくらぐらいの売上があるのか、など、ある程度自己開示しなければなりません。

もちろん、粉飾は論外です。でも、長期に渡って未回収になっている売掛金や売れずに貯まっている商品在庫、従業員にはあまり知られたくない役員関連の取引などどこまで本当の姿を開示するかは会社まかせ。そして、ほとんど中小企業では、監査法人のチェックが入らないので、何をどこまで開示し、知らせるかは経営者の考え方によります

いろいろな事情ですぐに損切りできない、まともに評価すると財務諸表が悪くなる、といったことはよくあります。この場合、無理やりすべてさらけ出すのはかなり勇気のいることです。時には「これは絶対回収は無理」という売掛金をそのまま計上しなければならないことがあるかもしれません。けれども、このように粉飾とは言い切れない会社の実態は見る人が見れば、すぐに見抜かれてしまいます。

一方で、ありのままの自分でいる自己開示だとどうなるか。いつまでも回収できない売掛金を白黒ハッキリさせる、売れない在庫を処分して現金化する、役員関連の取引について第三者の意見をもらって線引きする・・・。

結局のところ、ありのままでいるためにはあまり見たくない現実をまずは自分が受け入れることが出発点です。すぐには難しいかもしれません。でも、人が自然体でいれば多くの人から受け入れられるように、会社も自然体であればあるほど、支える人も増えてきます

上場企業の場合はルールとして自己開示が義務付けられています。これは株式市場における投資家保護の観点から求められるものですが、その見返りとして、一定の信用を確保でき、資金調達の方法もいろいろと広がります。

しかし、中小企業における自己開示はあくまで経営者次第。そこそこ財務状況が良ければ銀行も融資の審査であまり深く追求はしません。けれども、会社の状況をどこまで社内で、そして社外と共有できるかで、その後の成長の伸びは大きく違ってきます

自分をさらけ出すという意味合いではなく、ありのままの自分でいるという視点に立って、できるだけ自己開示できたら、中小企業の可能性はもっと広がると私は考えています。なぜなら、課題が明らかになればあとはそれを粛々と対応するだけだから。やっかいなのは、課題がうやむやの状態です。

恥ずかしいところをえぐり出す自己開示ではなく、スッと肩の力が抜けて、でも地に足がついている自己開示へ。仕事を通してそんな自己開示が自然とできる会社を増やしていきたいと思います。

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