たとえ餅でもまず絵に描け
「猪突猛進」。私が個人的に思う、創業社長のイメージです。思いついたら後先考えず、すぐに実行。即断即決で実践あるのみ。失敗しても気にせずガンガン前に進む。というイメージです。まあ、当たり前の話かもしれません。そもそもこの資質がなければ創業もしないでしょうし、創業後の不安定期も乗り切れません。
この「猪突猛進」的資質が強い人は思いのままに行動するため、周りの人たちの理解が間に合いません。周囲に対して何の説明もなしにガンガン動くため、社員も置いてけぼりで社内は常に混乱しています。ついでに、このタイプは感情の起伏が激しい場合も多く、それがさらに混乱を招くことにもつながります。
脳の特徴的に見ても、感情と決断は切っても切れない関係です。脳の感情を司る部位が欠落すれば、決断できなくなる事例がいくつも報告されています。つまり、好き嫌いが強い人の方が決断は早い(かなり乱暴な言い方ですが)。
ただし、決断が早い一方、創業社長型の経営者は自分の想いや状況を「言語化」することを苦手としています。大半の創業社長は口頭で一方的な表明はしますが、紙やデータなど記録には残さない人が多い。今、何をやっていて、どこに向かっていくのか、社長にしかわかりません。いや、正確に言えば社長にもわかっていない可能性が高い。
創業からしばらくは思いのままの猪突猛進で何とかなりますが、組織や売上規模が大きくなると、ある時を境に会社が機能不全を起こします。要は成長が停滞してしまうのです。この「ある時」は会社によって変わります。一般的には売上なら1~3億、店舗なら3店舗目以降、従業員数なら10人以上…などでしょうか。
私の個人的な見解ですが、経営者をはじめ世の中の大半の人は、理想の姿や想いを言語化し、紙やデータに落とし込んで「形」にする効果を軽んじています。「そんなもの書いてもムダでしょ」「前にも書いてみたけど何も変わらなかった」「どうせ絵に描いた餅」という声も聞きます。果たしてそうでしょうか。
ムダという人はそもそもやったことがない。何も変わらなかったという人は、継続していない。絵に描いた餅という人は、描かれているものが餅だとわかることが大事というのを理解していない。
これも個人的な見解ですが、ビジョンや目標などを言語化し、形にすることは確実に達成時期を早めます。達成するかしないかではなく、時期を早める効果があるのです。
経営者の皆さん。まずはその頭の中にある「将来の理想の姿」、「想い」を言語化してください。苦手な人は身近な専門家や顧問士業に壁打ちの壁役となってもらい、言語化のお手伝いをしてもらいましょう。1年、3年、5年と年を経るごとにその効果を感じることができます。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。