銀行を味方につける2代目社長の共通点
「2代目」・「3代目」などの後継社長さんには、後継社長さんならではの悩みや苦悩があります。
後継社長さんの場合、最初から事業基盤が整った上での船出になります。それゆえに、様々なしがらみや制約の中で意思決定をしていく難しさがあり、毎日、心を砕いて頑張っているものです。
創業社長の場合、ゼロからイチを創る難しさがあります。まさに「産みの苦しみ」を乗り越えてきたわけで、特にお金の面での苦労が多いです。ですが「過去からのしがらみ」が比較的少ないので自由な面もあります。
創業社長さんと後継社長さんとでは、歩んできた道のりが異なるため、当然、苦労するポイントや経営課題なども異なってきます。
しかし、「財務」は、同じようなポイントで躓いていることが多いものです。以前、どこかで耳にしたフレーズで「なるほど。確かに…。」と感じた言葉があります。
「お金の心配をするのが、社長」
「お金の心配をしなくていいのが、従業員」
ちなみに「お金の心配」は、金銭的に余裕がある状態であっても、資金繰りが苦しくて経営がひっ迫している状態でも同じです。
なぜなら、社長は、常にお金に対して「心(こころ)配(くばる)」するものだからです。ちなみに「心配」と「不安」では、全く違う話になります。
「絶対に会社を潰さない…」という、覚悟と決意を持った経営トップなら、どんな時も会社のお金を管理しておくのは、当然の話です。
一方、従業員さんは、会社のお金の心配をする必要はありません。なぜなら、会社は給与の支払い先でしかないからです。
会社経営にまつわるお金の悩みは、安易に相談できる内容ではありません。不用意に社員や取引先・金融機関・家族などに漏らそうものなら、どのようなカタチで受け止められるかわかりません。
地域密着型ビジネスの場合は、あっという間に噂が広がっていきますから、会社の「財務」は、まさにトップシークレットです。
財務戦略のない社長は、資金繰りの不安が強く、銀行の融資姿勢や支店長の考え方、担当者の態度などに、常に一喜一憂します。
ひどい場合は、粉飾決算に手を染めだします。アタマの中は、「銀行の機嫌取り」でイッパイです。人間の体は正直なもので、気の休まらない状態が続くと、何かしらの不調に悩まされることになります。
しかし、どんなに銀行の機嫌を取っても、思うような関係を築くことはできません。なぜなら、銀行が重視しているのは、「貸したお金が返ってくるか?」だからです。
ビジネスである以上、銀行も「付き合うに足る会社」かどうか…シビアな目で見ています。銀行対策の技術(テクニック)は、知っていた方がいいですが、大前提となる「財務」が悪ければ、話になりません表面的な対処療法だけでは、いずれボロが出ます。
社長が真に向き合うべきなのは、銀行や支店長、担当者ではなく、自社の「財務」です。
社長自らが財務を意図して築くという視点が持てるようになると、財務を強化するための具体策、つまり、財務戦略を持つことができます。
「利益を出してお金が残る」強い会社づくりができるようになれば、銀行は依存先ではなく、本来のあるべき姿である「お金のイチ仕入先」となります。
まず目指すのは、「銀行が会社を選ぶ」世界からの脱却です。本当の意味での自由を手に入れるために、「会社が銀行を選ぶ」という当たり前のポジションを社長自身が勝ち取ることなのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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