どうして人件費を上げるんですか?
「これは目標を上回った社員ほど給料が上がっていく仕組みになってるんですよ」
「だから、日ごろ頑張っている社員達はより一層、成果を出したいと動き、消極的な社員達は置いていかれまいと必死になる・・・はずだったんですが」
「あまり効果が出なかったもので・・・」
「伊東さん、何がおかしかったんでしょうか?」
多店舗展開事業を行っている社長がおっしゃいました。
実はこういったご相談内容は多いです。
それは 「従業員のヤル気を引き出そうと人件費を上げてみた」
そして 「うまくいかなかった」 です。
マネジメントは、繊細で壊れやすい人の心をコントロールしようとするもの。
「まずい、新しくうった手がうまく行ってないな」
と感じたのならすぐにストップすればいいものなのですが、なかには強引に押し通す方もいらっしゃいます。
「もっと参加者を増やしなさい!」
「各リーダーはちゃんとこの魅力を伝えているのか?」
「部署ごとに反響順に並べてみなさい。 参加者が少ない部署が一目瞭然だから」
「参加が少ない部署のリーダーは『なぜメンバーが動かなかったのか?』理由を報告しなさい」
など、
あるいは
「せっかく打ち立てた方針が従業員に『機能してないじゃないか!』と思われたらまずい」
「とりあえず該当者をテキトーに見繕って合格にしておきなさい」
とか
「上層部に睨まれたら大変だ。頼む、みんな。気が進まないのはわかるけど参加してくれ」
など、本末転倒に走る企業も・・・
このようなご相談があった企業の経営者に私が返す言葉は
「社員やスタッフが動く理由に『自らの収入』は重要ではありません」
しかしこのフレーズを発する方は世の中には何人もいます。
会社経営者であれば、何かしらのメディアによって見聞きしている方も多いことでしょう。
ですから人によっては 「この伊東って人は、ありきたりなフレーズを口にするんだな」 と思われてるかもしれません。
ところが不思議な事に、何故か聞き飽きてるほどのありきたりなフレーズなのに、経営者は 「人を動かすために人件費を上げる」という落とし穴 に次々にハマってしまうのです。
その理由は1つ
「経営者だから」
経営者は儲かる事にしか興味が無い と言っても過言ではありません。
それに人一倍執着してきたからこそ成功をおさめ続けてきた優秀な方々です。
ですから逆に 「私は儲かることに興味はありません」 という企業経営者はいません。
もしいたとしたら、その人はすぐに会社経営から身を引かれた方が良いでしょう。
近い将来、大勢のお客様、従業員を不幸にしてしまいます。
当たり前ですが社員やスタッフは経営者ではありません。
1番先に 「儲かるかどうか?」 そう考える方はなかなかいらっしゃいません。
経営者は何か新たなマネジメントの一手を打つ際、ついつい経営者視点で作り上げてしまいます。
「頑張るほど自分が儲かるんだから、このマネジメントの方法はきっとうまくいくだろう」
「もしかしたら大きな結果を出し続ける社員がゴロゴロ現れるんじゃないか?」
「だって自分が社員だったら間違いなく努力し続けたくなるんだから」・・・と
優秀な経営者ほど「マネジメント面でやってはいけない落とし穴」にはまってしまうのです。
「しかし伊東さん、うまくいってるチェーン企業はどうなんですか?」
「そこで働く従業員はそれなりに年収も良いじゃないですか」
「何が違うんですか?」
さすがに私は優秀な企業全ての内情を知っているわけではありませんので、「〇〇だからです」 とは言い切れません。
その代わり「当社がお手伝いしてマネジメントの仕組みを構築、実装でき、会社の利益を倍にできて、業界ぶっちぎりの業績を叩き出し続けている企業がどうしてそうなったのか?」はご紹介できます。
それらの企業の経営者のみなさんは 「業績UPの為に人件費を上げる」 という要素を、創り上げた仕組み内に取り入れた企業は1社もありません。
しかし、会社の業績を伸ばした後に従業員の人件費を上げている企業はあります。
何が違うのか?
それは 「人件費をUPした理由は、想定以上に稼いでくれてるから」 です。
「後発」なのです。
業績を上げたO社の事例です。
それまでは社員やスタッフの一部には残念なことに
・ノロノロダラダラ
・余計な仕事ばかりに没頭してる
・ボケーッとしている
・休憩を多めに取る
ような方々がいらっしゃいました。
また店舗単位においても
・いつまで経っても売ろうとしない店
・いつまで経っても汚い店
ばかりで、常に人手不足状態で社員フォローが続いていました。
普通に考えてみてください。
「誰もが毎日真剣に働いているのに 何カ月も、何年も欠点が治せない」
そんなことはあり得るのでしょうか?
当然社長はなぜ数字が上がっていかないのか? 原因を探ろうとしました。 そして
「やれるところはたくさんあるじゃないか!」
「よくこんな状態で君たちは家に帰れるな!」
「お客様に失礼だ。という気持ちは持って無いのか?」
そんな思いにかられるわけですが、当然そのままストレートに伝えられるわけもなく
「あの社員達を見ると、能天気過ぎてムカムカ腹が立ってくる」
「現場を見てるとイライラするから見たくもないし、行きたくもない」
それが仕組みを構築した結果どうなったのか?といいますと
現場のスタッフ全員、誰もが「一分一秒ももったいない」状態です。
・休憩を削ってまで仕事に没頭する
・勤務時間は過ぎてもう退勤処理をしたのに、気になったところに手を加え直し帰らない
・家でじっくり時間をかけて家族も巻き込んで仕事の準備をしてきた
店舗単位では
・万年人手不足、社員フォロー連発状態から一転、働きたい人待ちに
「これ以上シフトは増やせませんので、空きができたら声を掛けますから」状態
誰もが想定以上の結果を出す行動を重ねるものですから、社長は
「頼むからそこまでしないでくれ」
「頑張りすぎだよ」
「放っておくと逆に問題になっちゃう」
今までは 誰か手を抜いていないか? に血眼になっていたのに
今度は 誰か頑張りすぎていないか? を気にしなければならなくなりました。
多店舗展開企業がマネジメント面にうつ一手で、大きな結果を得たいのであれば
・自分がアルバイトの時、どんな時に喜びを感じていたのか?
・社員として働いていた際 「もっともっと仕事したい!」 「家でも仕事したい」
その原動力は何だったのか?
根っからの創業者兼経営者であれば
・社員、スタッフが本当の笑顔を見せるタイミングはどこなのか?
それらの原動力は本当にお金でしたか?
きっとそのきっかけはどの企業も「人間の感情、ハート」が絡んでいるはずです。
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