心理的安全性と生産性の関係
コンサルタントをしていると、さまざまな社長さんと接する機会があるのですが、社内外の評価もまた百人百様というくらい、見る角度によって変化します。外部からは「天才経営者」「時代の先を読んでいる」などと持ち上げられていても、社内整備がまるっきりお留守になっていたり、社員の入れ替わりが激しかったりする例があるかと思えば、経営者として切れ味の鋭さは全く感じないにもかかわらず、社員から慕われる度合いが抜群、という社長さんも居たりします。
今日お伝えする「心理的安全性」は、ちょっと前にGoogleが実証実験をしたことで有名になりましたが、チームワークのパフォーマンスを上げるための要素として、構成員の経験値や資格、結果に対する評価・報酬といった条件よりも、これこそが決定的な要素であることが証明されたというものです。一言でいうと「何でも自由にモノが言えること」、もしくはそういう環境のことを言うのですが、そこで思い出されるのがマズローの欲求五段階説です。
いわゆる「自己実現の欲求」や「社会的欲求」など高次の欲求は、高い満足感とモチベーションをもたらしてくれるが、欲求の発露としてはごく弱い、それに対して「生存の欲求」や「安全の欲求」は、たとえ満たされたとしてもそれでモチベーションがすごく上がることにはならないが。欲求そのものは強く発露される、とする学説です。「所属の欲求」がちょうど中間にあたります。
心理的安全性が担保されていない環境では、人は発言する前に「ここでこれを言ったらどう思われるだろう?」という思いに囚われます。実はこれは「安全の欲求」が働いている状態といえます。この欲求そのものはとても強いため、安全=沈黙を選択する人が多くなり、コミュニケーションは停滞し、チームワークが上手く機能しないという状況に陥ります。
逆に、心理的安全性が担保された空間においては、人は自由闊達にその発想を共有しようとします。そこに合意された目標や経営方針があればなおのこと、それを盛り立てることでさらに心理的安全性を確保し、自らが所属する社会でもある職場に貢献しようとします。すなわち自己実現にもつながる機会を、心理的安全性が担保してくれている状態です。
もうお分かりだと思うのですが、会社で生産性を上げようと思ったら、確保すべきは社員から見た心理的安全性である、ということですね。社員同士が好き勝手なことを言い合い、それでなおかつ生産性が上がる。コミュニケーションは活性化され、社業は自然に加速されてゆく。なんだか理想的な展開に思えませんか?
社員の力を信頼し、社員に対して心理的安全性を担保しようとする経営者を、当社はいつも全力で支援しています。
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