中小企業に求められる「仕分け人」
「売上をもっと上げて利益を残して新たな投資をしていきたい。そして、社員には活き活きと働いて欲しいと思っているし、できれば新しい分野にもチャレンジしたいと思っています・・・」
先日いらっしゃった社長様からのご相談ですが、これは多くの経営者が抱える代表的な悩みなのではないでしょうか。ご自身の会社を大きく発展させ社員や地域に喜ばれたい、そう思うのは自然のことです。それを実現するために、会社を運営していく上で経営者が考えるべき事は、効率よく売上を上げ、効率よく利益を残すことに尽きます。それができて初めて福利厚生の充実や地域社会への貢献につながるのだと思います。
しかし、ご相談にいらっしゃる経営者の中には、ビジョンや計画ばかりが先行してしまい、現状のレベルや今やるべき事を把握できていない方も少なからずいらっしゃいます。先ほどのご相談も、現在の人員や営業体制、財務内容などを聞くと少なくとも3年以上は掛かる長期的なビジョンのようでしたが、それを短期的な計画に落としこむ作業が十分にできていないようです。そしてこの社長様、とても熱心な方で、社員への営業研修や財務強化のためのコンサルティングなどを積極的に取り入れ、同時に新規事業の検討もしていらっしゃるのだとか。ちなみに社内の反応は?と聞くと、一方的に、しかも半強制的にやらせていますと、少々苦笑いをしながらこたえてくださいました。
この社長様のお話しを整理すると、まずやるべき事は安定的な売上を確保し利益を残す仕組みを社内に構築すること。もう少し整理すると、今いる社員で効率よく売上を上げて、利益率の高い仕事をすること・・・となりますが、それには少々身の回りの整理をする必要がありそうです。
例えば、各営業マンが日々行うルートセールスはどのような成果を生んでいるのか?
単価の交渉は誰が担当し、その判断の根拠はどこにあるのか?
新規開拓リストは誰が何を基準に作成し、その後の導線は明確か?
など・・・考えてみればごく当たり前のことなのですが、実際には各営業パーソンに任せっきりの部分も多く、管理者がこれらを把握していない会社も多く存在します。先ほどの社長様の会社でも、営業の数値目標だけは明確ですが内容までは追求していませんということでした。しかも、業務の合間に研修やコンサルティングに時間を割かれ、日々の仕事の中身が薄くなってしまっているかもしれない・・・ともおっしゃっていました。
私のところに来るご相談の中には、熱心に経営努力をしているのに空回りをしてしまい何一つ成果が出ない・・・という方も多くいらっしゃいます。こんな社長様には、仕分けをしてあげることが大切だと思っています。必要か、必要でないか。今やるべきか、誰がやるべきことなのかという仕分けです。多くのものを詰め込むだけではかえって効率を落とし、社員のモチベーションダウンにもつながります。
経営者が一番に考えるべきこととは、効率よく売上を上げ利益を残すための仕組み化です。属人的にならずに仕事を進める方法の構築なのです。より少ない資本(人員)で、より多くの利益を生み出すためには、こちら側の土俵に持ち込むためのシンプルな仕組みが必要なのです。
最近、あれこれ努力が過ぎてお腹いっぱい!と感じる経営者の皆さま、少しスッキリと仕分けをしてみるのも良いかもしれませんね。
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