「あの社長にしかできない」と言われ続けるポイント
ある社長がおっしゃいました。
「私は経営の事について、誰かに横槍を入れられる事が一番イヤなんです」
「だから伊東さん、私は『あの社長の代わりは誰もできない』と言われるような武器を目に見える形に作りあげたいんです」
先週の日経新聞の一面に 「起業6.6万社最多に」 とありました。
コロナ禍という厳しい時代が終わりを迎えつつある今、新たな芽吹きが活発になっているようで、私も日本経済の回復に期待しています。
並々ならぬ苦労の末、念願の会社のトップに就くことができ「全て自分で決められる権限」を手にした方も多くいらっしゃることでしょう。
しかし、いくらトップになったからといっても会社の状況、環境によっては「横槍」を入れられてしまうことはあります。それはコロナ禍のような不況からなかなか抜け出せない今の時期だったり、会社の数字が良ろしくない時。親会社から、または支援者からなど。
ここで「横槍を入れられたくない」という考え自体に「わがままな人だなあ」というイメージをお持ちの方がいらっしゃいますが、私は「わがままでもなんでもない、ごく自然で当たり前の感情だ」と捉えています。
なぜなら、誰かがある組織のトップに横槍を入れた後、その組織の業績がUPした場合、トップは「その人じゃなくてもいい」という結果になるからです。
こうなってしまうと、まさに「お前の代わりはいくらでもいるぞ」状態です。
「横槍はイヤだ」という感情は誰もが当たり前に有している感情なのです。
ところで企業のトップの中には、誰よりも実績を積み重ねたわけでもないのに
- どんな状況下においても誰にも何も言われず 「ただただ結果を出すのを待ってもらえる」
- いの一番に儲け話が舞い込んでくる
そんな特別なオーラを纏ったトップがたまにいらっしゃいます。
そんな人達は何が違うのか?
これこそが冒頭の社長からご相談があったように
「その社長独自の武器があり、目に見える形に作りあげられているかどうか?」
の違いです。
ここで間違えられやすいのは 「自分唯一の武器がある社長」 ではないという事。
自力で組織のトップに就けるような凄い方は、その道を誰よりも努力を重ねてきて、周囲に認められた方です。誰にもマネできない武器の1つや2つは自分の中にできあがっているのはほぼ確定事項と言っていいでしょう。
ところが そんな社長唯一の武器が「他人に伝えやすい形に加工されているかどうか?」
こうなると話は全く違ってきます。
そこにはとんでもない「分厚い壁」が存在するのです。
どのくらい厚いか?といいますと、普通の大人が1日中その加工に時間を費やしたとしても軽く年単位で時間がかかるほどです。
このような事は普通の方にはなかなか理解されづらいものなのですが、普段から「何もないところから何かを生み出す」といったことを生業としている方々にだけは
「わかる」
「そうなんだよなあ~ 時間かかるよね~」
などと共感していただけます。
ここで
「自分唯一の武器がある社長」
「自分唯一の武器が他人に伝えやすい形に加工されている社長」
その差が会社の業績にどう関わってくるんだ?
と問われますと私の返答は
「今、会社が得られている利益を倍増させられるほどの違いがあります」
です。
ある企業N社がありました。
N社はとあるチェーングループの一員としてのフランチャイジー企業です。
他のフランチャイジー企業や加盟店が口にする言葉はだいたい
「立地で全て決まっちゃうんだよ」
「もっとロイヤリティーを下げてくれ」
など、自社の業績を上げていくカギは全てチェーン本部が握ってるんだ という見方ばかりでした。
しかしN社は違っていて
「今、自社にある武器だけで業績を上げる事はできないのか?」
「どこかに答えがあるはずだ」
「探ろう、力を磨こう」
そのことばかりを考え、挑戦しては修正してとコツコツ自社の腕ばかりを磨き続けていたのです。
そしてある日、N社の社長は当社ピアーズもお手伝いして、自分唯一の武器を他人に伝えやすい形に加工することに成功し、利益を倍増することができたのです。
当然、チェーン本部の人達は 「御社は一体何をやったんですか?」
更にうわさを聞きつけた他の加盟企業や加盟店オーナー達も
「社長、またうちに見学者が来てますよ」状態
ところがN社の社長は自分の武器を隠す素振りは一切なく
「どうぞどうぞ、心行くまでじっくり見て行って下さい」
とウェルカム状態です。
見学した人達からは
「これは凄いぞ!」
と驚きのあまり声が漏れるのですが、不思議な事に感想は人それぞれ違います。
「〇〇〇なことをしてるんだ。 なるほどなぁ~」
「コツはここだな。 △△△をやってたからだ」
「そうか□□□を使ってたのか、うちには無かったな」
なぜN社の社長は自信満々に公開してるのか?
それは 「見られたところで、絶対に他の人にはマネできないから」
行列ができるラーメン店の一押し🍜商品のようなもので
いくらプロがそれを食べたところで完全にコピーすることは至難の業です。
だから自信をもって見てもらっているのです。
まるで 「マネできるもんならマネして見ろ!」 状態。
見た人によって感想が違う理由は「いくつもの重要な要素」が込められている複合体だからです。
一筋縄では創る事ができない複雑な芸術作品なのです。
それがきっかけとなり、チェーン本部が確保した好立地の出店の際には必ず一番最初に
「N社が運営してもらえませんか?」
「N社の社長だからこそ、お願いしたいんです!」
やがてN社のフランチャイジー事業は「あまり手のかからない自社の巨大な収益事業」と変化し、新たな事業を起ち上げる為の資金源となったのです。
重要なのは
「あの社長にしかできない」唯一の武器があり、それが他の人に見える形になっているかどうか?
御社は
「あの社長にしかできない」と言われ続ける、誰にもマネできない武器が「目に見える形に加工」が済んでいますか?
それとも
「あるにはあるけど・・・」
それが目に見えず、簡単に説明することもできない未加工のままになっていませんか?
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