人を育てて儲けたいなら(1)
前回は国立高等専門学校との産学連携について書かせていただいたところ、瞬間最大風速ですが「よく読まれている人気の記事」で第一位を頂きました。今週も引き続き、産学連携のバリエーションについてお伝えします。
製造業や商社にとっても、取り扱う商材に関する技術的な知識は「持っていて持ちすぎ」ということはないと思います。他方で、それを任せられる人材がなかなか社内に見つからないのが泣き所、という会社は少なくありません。多くの経営者にとって、事業承継が共通の悩みであるのと同じくらい、技術承継あるいは知識承継も喫緊の課題となりつつあります。
よくあるパターンが、工学系の新卒を採用してもなかなか定着してくれないというお悩みです。やりたいことと仕事の中身が完全に一致しているわけではない中、最近は若手人材の転職市場が充実しており、中には引き抜きに近いやり方で2年目・3年目のエンジニア人材が狙われる例も少なくありません。
たとえ引き抜きに逢わなかったとしても、同じ工学系だからと言う理由で化学の仕事に就いた機械系専攻の社員は、素人同然のスタートラインから仕事を覚えなくてはならないわけで、技術的にプラスのモチベーションを見出すのが簡単ではなかったりします。そこで会社側のケアが弱いと、積極的転職の理由にもなりうるわけです。
そのようなミスマッチを緩和するためにお勧めしているのが、今回ご紹介する高専との「インターンシップを皮切りとした長期的な人財確保戦略」です。まずは短期のインターンシップを、できれば制度化して沢山受け入れます。繰り返しインターンの受け入れを続けるとするなら、長期的には専任の担当者をつけても良いくらいの仕事になる可能性があります。
その中から、学生との相性を見極めたうえで採用へと進むわけですが、その際に数年勤務した後で再び学校へと戻る道筋をつけておくと言う点が普通の採用とこの戦略の異なる点です。高専との関係で①技術的な拠り所を確保できる、②企業の間尺に合った長期的な人財育成を学校からも支援してもらえる等が期待できるのですが、学校側にとっても①「確度の高い就職事案」を増やすことにつながる、②社会人教育枠の充実につながる、ということで双方にとってメリットのある話になります。
社会人教育の学費については初期的に会社負担とし、派遣後5年以内の自己都合退職時には改めて返済義務を課す、といった設定にしておくのが良いでしょう。
そうやって、職場と学校を行き来しているうちに、エンジニアは30歳を過ぎ、多くは結婚して家庭を持つ年齢になっていることでしょう。雇用関係はさておき、技術的なコミットメントで言えばすでに立派な専門性を確立している年齢です。その下地となるのは間違いなく御社の現場であり、その研究を深めることができたのも間違いなく御社と高専の産学連携関係によるもの、となるわけです。
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