危機のときに伸びる会社の共通点
新しい商品をつくることは新しい文化をつくることです。時代が大きく変わろうとしている今、生活者が求めているのはライフスタイルという「型」ではありません。むしろ目に見えない「スピリット」に飢えています。
バブル崩壊、リーマンショック、震災など、衝撃的な出来事の後に拡がるものがあります。それは「悲観神話」です。悲観的な空気感が生活者に広がり、ネガティブなマインドになります。結果、景気が良くならない状態が続きます。負のスパイラルを壊さなければなりません。わたしたち中小企業経営者の気概を見せなければなりません。
悲観神話を作り出すのはメディアです。メディアはあえて「ネガティブニュース」を流します。人の脳は「良いニュス」ではなく「悪いニュース」により強く反応するからです。広告を入れるスポンサー企業は「注目度」に高いお金を払います。ニュースはネガティブでなければビジネスにならないのです。
生活者感覚で街を見る時、客足が戻っているお店があります。相変わらず繁盛している店もあります。また、空店舗に新しい店が入って賑わっていたりと、街の新陳代謝に気がつく場面もあるはずです。世界は広く、世の中は日々動いています。
不況だからといって「節約」や「貯蓄」ばかりでは息がつまります。時にその真逆を求めるものです。節約派も「自分ご褒美」にECサイトでプチ贅沢することもあるでしょう。巣ごもりで、旅することの価値にあらためて気づかされた人もいるでしょう。人間はバランスの生きものです。
先だってご指導しているK社が新商品をリリースしました。設備投資はいっさいせず、自社にある資源を活用し商品リニューアルしました。K社は製造業ですが、その商品は従来製造してきたものとはまったく異なる商品です。
時代の変化に対応した商品をリリースしました。が狙いは「変化対応」ではありません。むしろ逆です。変わり続けるために「変わらない」ことを決めるのです。自社の「原点」に立ち返り、原点を売り続ける会社になると決め、商品リニューアルに取り組みました。
会社は社長の個性・人格・哲学を表現したものです。「会社は究極の作品」と言われる所以です。そして商品サービスも社長の個性・人格・哲学を表現したものです。会社も商品サービスも社長自身なのです。社長ご自身のことをよくわかっていなかったらそれを拡張した会社、商品やサービスが生き残るのは極めてむずかいのです。原点を再発見するために、自身を理解することが必要不可欠なのです。この時、経営者が「悲観神話」に侵されていたらどうでしょうか。
K社の商品は、今までになかった商品で、日本初、世界初の商品です。生活者が使うシーン、その商品を使う空気感や雰囲気、使う場づくりを含めて「文化」をつくってゆくことがプロモーションの要です。インターネット環境が整っている今の時代ならば、やり方はいろいろあります。
K社では販路拡大に向けて新しいチャレンジをしています。ネガティブニュースが流れる世にあって社員はいろいろな不安を抱えますが、K社長の心は揺らぐことはありません。むしろ楽観主義の天才です。
悲観神話からは何も生まれません。人間にとって、悲観することは思考停止することを意味します。コップの水が「まだ半分」なのか「あと半分」なのか。前者と後者では、脳の動きがまったく異なるのです。「あと半分しかない!」と思った時に考えることをやめてしまうのです。
「まだ半分」と考えることから頭脳は動き出します。新しいアイデア、ユニークな発想が生まれやすくなります。「楽観」とは、想像力の羽ばたきです。視野が広く視点が高い状態です。頭の中がひろびろと、解放的な状態になっています。可能性に満ちた状態です。
これまで400人近くの経営者と出会ってきました。成功している社長の共通点がまさに楽観主義者であることです。原点とは、核であり、魂であり、コンセプトです。メディアの道具「ネガティブ」に振り回されてはなりません。社長自身が、思考停止しないために楽観主義を信仰しましょう。
ご自身で情報を得ることです。情報とは人です。人に会いにゆくことが、新しい文化開発の起爆剤です。世界の中でもユニークで唯一無二の精神性、哲学を持っている日本こそウルトラニッチです。新しい産業を起こし未来を豊かにする可能性を秘めています。そして日本の中小企業こそが新しい世界を拓く救世主なのです。悲観神話を理由に「やらない」言い訳にしてはいけません。自身の悲観主義を蹴散らして進んでゆきましょう。
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