注目のコンサルタント ── 鈴木 純二氏(2/4)
IT化による顧客接点改革で、
経営を劇的に躍進させる!
会社が真に成長するIT導入法を指導!!
ベルケンシステムズ株式会社
代表取締役 鈴木 純二 氏
~前号からつづく
IT化を確実に成功に導く独自手法
白川◉具体的には、どの様な流れでコンサルティングを行うのですか?
鈴木❖まずは、現状確認です。各部門のキーマンを集め、仕事をする上で感じている課題を挙げてもらいます。もちろん、経営者にも、日頃、感じている経営課題を出してもらいます。
課題が出揃った段階で「じゃあ、この課題を解決できるシステムを探そう」と思ってしまいがちですが、それは誤りの元です。
課題を明確にした時点でシステム会社に依頼すると、オーバースペックで使いづらかったり、効果が実感しづらかったり、自社に適さないシステムを提案される可能性が高いです。
そうしたことを避け、真に適したシステムを選ぶためには、次のステップである業務プロセスの可視化が重要となります。
その手法として、当社では『業務プロセス管理図』というものを作成してもらいます。
今日は実際に、指導先であるA社の実物をお持ちしました。
白川◉長いですね! まるで巻物の様な…。
鈴木❖全て広げると、3m弱あります。
A社は、ビル建築などに用いる大型設備の製造をされているのですが、ここには、お見積もりから商品製造・出荷までの全業務が記されています。横軸が部門、縦軸が業務の流れです。
よく業務フロー図と勘違いされるのですが、決定的に違う点は、先に挙げてもらった課題も書き込んでいる点です。
白川◉業務の横にある吹き出し部分ですね。
鈴木❖そうです。まず、業務の流れを書き出し、そこに課題を追記することで、「いつ、どのプロセスで、どんな課題が発生し、その原因は何か?」が明確になります。
白川◉『業務プロセス管理図』とは、初めて聞いたのですが、鈴木先生が考案されたものですか?
鈴木❖はい、独自手法です。「うちにも、同じようなものがあるよ」という経営者もいらっしゃいますが、拝見すると、ただ業務の流れが書かれているだけで、粒感が粗いです。
粒感が粗いと、各部門から挙げてもらった課題の真因が明確にならず、システム導入したものの、使いづらく、役立たないという事態に陥ります。それでは、真に最適なIT化を図ることはできません。
課題を浮かせることがない様に、粒感を細かく統一できるのが『業務プロセス管理図』なのです。
白川◉『業務プロセス管理図』を作成した後は、どうするのですか?
鈴木❖『業務プロセス管理図』で明確になった課題の原因に対し、「人員を増やすか?」「仕事のやり方を変えるか?」「 いや、IT化をするべきか?」と議論するのが、次のステップです。
様々な解決策を模索することで、何をITに期待するかが明確になりますので、後々、こんなはずじゃなかった、となるのを防げます。
最終的に、どの課題をIT化すれば、最も経営効果が高いのか、優先順位を付けた後、システム会社へ依頼するための提案依頼書にまとめ、依頼先の選定に入ります。
白川◉提案依頼書は、どの様な内容なのですか?
鈴木❖メインは、システム導入にあたり、欲しい機能一覧をまとめた要求仕様です。
他、『業務プロセス管理図』やIT化の方針や目標値、現状のシステム、経営環境や経営者の想いなども込めます。
白川◉IT化のための提案依頼書に、経営者の想いを込めるとは、ちょっと予想外でした。
鈴木❖IT化で成功するためには、システム会社との関係性も重要です。
システム会社とは長い間のパートナーとなります。単にスキルが高いだけでなく、お互いを理解しあえ、一緒に成長していけるかどうか?という点を見極めるためにも、経営者の想いも相手に開示する必要があると思っています。
白川◉具体的に、システム会社はどの様に選ぶのですか?
鈴木❖中小企業でしたら、地元で経済圏を作っているケースが多く、その中にはシステム会社もありますから、一通り、提案依頼書を配布して、方針を理解してもらった後、各社にプレゼンをしてもらいます。
白川◉プレゼンは同席されるのですか?
鈴木❖立ち会います。業務の流れを理解できているか? 要求仕様を満たすシステムを提案してくれているか? そして、長期的に寄り添い、安定的に開発してくれる会社かどうか? などを、経営者と共に確認しながら決定します。ここでコンサルティングは一旦、終了です。
その後は、システム会社による開発プロジェクトが進むわけですが、「最後まで、お願いします」と依頼され、システムが安定稼働するまで伴走することもあります。
次号につづく
聞き手:日本コンサルティング推進機構 理事 白川 博司