現代『ウェブサイト』考2
現代『ウェブサイト』考1 から続く
『形態的』ウェブサイト3分類
新しくお知り合いになった経営者の名刺には、ほぼ間違いなくウェブサイトのアドレスが刷られています。 最近では裏面にQRコードで印刷されている場合もあります。拝見してみると、大まかには3つに分かれるように思います。
①名刺型
→「いまどき会社のウェブサイトがないという訳にはいかない」といった「一応つくっとこう」というやつです。企業情報に加えて「社長の挨拶」や簡単な「製品紹介」がくっついた程度のものです。ほとんどの場合、内容は公開当初のままで定期的に更新するようなコンテンツは最初からメニュー自体にありません。あまり見られないことを前提につくられたサイトとも言えます。こういうサイトでは、名刺をもらってアクセスしてもまた、名刺を見せられているようなものです。往々にして名刺をくださった社長さんご自身は、もう長い間ご覧になっていない事が多いのもこのタイプです。
②チラシ型
→自社の施工事例や売りになる点などを入れられるだけ入れたタイプのものです。ウェブサイトはチラシのように紙面に限りがないので、際限なく情報が詰め込まれていて、良くも悪くもその会社のレベルがモロに出てしまいます。「施工例」などの実例写真は「工事記録写真」のような、お世辞にもプロモーションには向かないものでもお構いなしにじゃんじゃんアップされていて、目を覆いたくなるようなケースもあります。サイト制作会社が、提供された画像をそのままどんどん流し込んだ結果かと思いますが、「豊富な実績」と謳ってもこれでは「ダメさ加減」をせっせと宣伝しているようなものです。
③コンテンツ型
→何らかの形で公開後にコンテンツが追加・更新されているものです。それぞれの会社での「ご苦労話」を聴かせていただけるのが、このタイプです。しかし、運用担当者が退社したりして、その頃から「時間」が「停止」しているようなサイトも多く見かけます。特定の担当者まかせになっていて、社内で必須の業務として確立していないとそうなります。社長の中にはこれに懲りてしまって、サイトの更新をやめてしまったり全て外注化してしまったりする方もいらっしゃいます。自分や自社スタッフでやるよりは、丸投げしたほうがクオリティが高い発信ができると信じている方も多いようです。しかし、これからの時代、そもそも経営者の魂のこもらない「丸投げコンテンツ」に、どの程度の「投資効果」があるのかには疑問が残ります。
↑もらった名刺のURLに名刺みたいな内容のサイトって…
↑ウェブサイトには紙面の限度がないので、掲載物の性質が増幅されるのです
『目的別』ウェブサイト3分類
ウェブサイトを制作する際に、経営者自身がその「目的」を明確に整理できていないことも一般的な「事実」です。多くの場合、その時点で「勝負」は決まっています。戦う前から「負け戦」です。お心当たりのある方は、なんとなくの「リニューアル」にとりかかる前にいま一度、その「目的」は何だったのか?誰に向けてのものなのか?「熟考」されることをお勧めします。以下は『目的別』ウェブサイトの3分類です。
①SEO型集客サイト
→アクセス数や集客といった「成果」を強く意識されている制作会社が携わったものが多いようです。サイト設計の際によく言われる、コンバージョン(ウェブサイトで獲得できる資料請求・問合せなどの個々の成果)KPI(重要業績評価指標)とか KGI(重要目標達成指標)といった成果指標を最大目的としたサイトです。テクニカルな対策で向上した指標は決して長続きすることはありません。また、経験上そういった指標の追求で得られた営業機会によって営業部門では見かけ上は忙しくなります。しかしながら、最終的な利益確保といった成果までは必ずしも結びつかないこともよくあります。その「施策」は、ぬか喜びに終わるのです。経営者としては「こんなに広告宣伝費かけたのに、営業力がないから取りこぼした👊」と怒りたくもなる、決して歓迎できないパターンになりやすいのです。
②共感型発信サイト
→独自性があり高付加価値なサービスを展開する際に有効、または必須である形です。特に、提供する価値が世の中にあまり認知されていない場合であればあるほど、お客様からの「共感」は大切な要素となります。しかし、そのためには企業側が自分たちの「価値観」や「提供価値」を「言語化」「ビジュアル化」してわかりやすく表現できないと何も始まりません。それができないと、どんなに広告を投下しても市場では何も起こらないのです。共感型発信サイトはの運営は、自ずと日々の弛まぬ努力を必要とするものになります。その大変さ故に、分かってはいても、このスタイルで運用できる企業はひと握りであると言えます。競合のない「ブルーオーシャン」はそれに相応しい「日々の取り組み」をもってしか目にすることはできないのです。
③デザイン型インパクト重視サイト
→ウェブサイトの表示環境は、縦長で小さいスマホ画面がもはや完全に「主流」となりました。そのことにより、従来のような横長で大きなパソコン画面を前提としたデザインの幅は失われたと言ってもよいと思います。いっぽう、通信速度は飛躍的に速くなって動くコンテンツの活用に制限がなくなりつつあります。スマホの小さな画面上でも、縦横無尽に動くコンテンツで見る人を魅了するデザインのサイトも登場してきています。そういったサイトは、スマホを基準にしつつもパソコンやテレビ画面などの横長の大画面においても美しく見えるよう練られたものもあり、ある種の芸術性をもつ域に達していて、見ていて楽しいものです。若い人たちを対象にした、予算が潤沢な大企業の採用関連サイトなどに多く見られます。
現状、ほとんどの経営者は「ネットでの発信」や「ウェブサイト」には「苦手意識」をお持ちです。そういった経営者の皆さんには、いつも「自分の分身である”営業マン”を育てるつもりで取り組んで下さい」とお声かけさせていただいています。
理由は、
①やりようによれば手をかけてあげればあげるほどに成長し、衰えることがない
②人間と違って「24時間サーバーの中で全国(全世界)向けに働き続ける」「休職も退職もなし」「社会保険もなし」
③ひと昔前ならば数千万単位の投資を必要としたようなプロモーションが常時打てる
といった事が挙げられると思います。ただし、ウェブサイトもできた当初は何もわからないし、何も出来ません。手を変え品を変え、粘り強く身につけさせていかねばなならないのは、人間の新入社員と同じです。「ウェブサイト」が制作会社から納品されて、晴れて「公開」された時点は人間で言えば「入社式」なのです。このことをちゃんと理解している経営者は少ないように感じます。
↑新入社員には入社してから生涯使える「武器」を身につけさせてあげないといけません
社長はご自身の「苦手」を理由にネットでの発信を放置していませんか? また、自社の業務の中にその仕組みを定着させる取り組みをされていますか?
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。