知的財産を活用し、成功できる経営者に必要な要素とは?③
前回、前々回の2回にわたり、本コラムで、経営者として成功するための要素には3つあり、その一つは「勉強熱心」、もう一つは「素直である」ということをお話ししました。
はからずも、3回シリーズのようになってしまいましたが、今回は、最後の1つについて、お話しようと思います。
そもそも、なぜこんな、一見知財活用と関係ないと思える話をするかというと、特に中小企業の経営者の方々が成功する上で必須の条件であるからで、知的財産の活用を考えるうえでも不可欠であるからです。
では、3つ目の要素とは何か?
それは、「プラス発想である」ということです。
こう言うと、「え、そんなん当たり前や」とか、「失敗したら元も子もない場合もあるのに、いつもいつもプラス発想なんかできない」というお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、「人間万事塞翁が馬」ということわざがあります。ご存知の方も多いでしょう。
あれは、
- 「飼っている馬に逃げられる」→不幸
- 「逃げた馬が、別の立派な馬を連れて帰ってきた」→幸福
- 「息子がその馬に乗ったら、落馬して足を骨折した」→不幸
- 「その後戦争が起き、村の若者は皆戦争で死んでしまったが、骨折した若者は戦争に行かずに済み助かった」→幸福
という故事から、「人生の運・不運や幸・不幸は予測できないものだ」という意味に使われます。
一方、(ここからはこのコラムでの解釈と思ってください)これは見方を変えれば、
「ある出来事が不幸か幸福かの解釈は、その後の出来事によって変えることができる」という考え方もできます。
上の例でいけば、「息子が骨折したのは、後から考えてみれば、そのおかげで戦争に行かずに済んだのだからよかったんだ」と考えることもできます。
つまり、
- 「飼っている馬に逃げられる」→不幸ではなく、実は幸福
- 「逃げた馬が、別の立派な馬を連れて帰ってきた」→幸福
- 「息子がその馬に乗ったら、落馬して足を骨折した」→不幸ではなく、実は幸福
- 「その後戦争が起き、村の若者は皆戦争で死んでしまったが、骨折した若者は戦争に行かずに済み助かった」→幸福
という考え方ができれば、すべての出来事は意味があり、結果のいかんによって評価は変わるということになります。
では、この考え方と「知財活用」はどんな関係があるのか?
「失敗は成功の母」というように、有用な発明・将来有益な技術や特許は、失敗から生み出されたものが非常に多いという事実があります。
例えば、繰り返し貼ったり剥がしたりできる付箋もそうですね。あれは、接着剤の開発における「失敗作」を活用したことで、大ヒット商品になった例ですが、普通は「失敗」=「不幸」と考えがちです。そこを、あきらめることなく用途開発したおかげで、「実はあの失敗があったから今の成功がある」となったんだと私は考えます。
つまり、「プラス発想」をするためには、失敗を単なる失敗として終わらせずに、常に「どうすればよいか」「何か活用できないか」ということを考え続ける必要があるのです。
実は、自社では開発に失敗したが、他社と共同開発すれば利用できる技術や特許が、自社内で眠っているかもしれません。その技術や特許が「化け」て、自社の収益向上に貢献できれば、こんな素晴らしいことはないはずです。
一度、社内での開発失敗例や、活用できていない特許を掘り起こしてみる。とても重要なことです。
皆様は、「プラス発想」をしていますか?
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