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二代目社長は守破離を基本に改革すべし!!!

SPECIAL

銀行活用で新規開拓コンサルタント

株式会社結コンサルティング

代表取締役 

銀行活用で新規開拓の仕組みづくりを行うスペシャリスト。31年間の銀行員経験で、法人4,000社以上を担当、審査部担当者としての企業審査は1,000社超の実績を誇る金融のプロフェショナル。
売上が倍増した雑貨メーカー、バックメーカー、新事業を立ち上げた化粧品メーカー、更には海外進出に成功した事例など、累計で100社以上の会社を成功に導いた実績を持つ。

「社長に就任して1年経ち、会長(先代社長で父親)と経営方針を巡って対立が激しくなってしまい、役員や従業員とのコミュニケーションもギクシャクしています。今の時代に合った経営手法に変えていきたいのですが、どのようにしたら一体感を持って改革できるでしょうか?髙窪先生なら、これまでいろいろな事例を経験されてきたと思いますので、後継者が上手に改革した事例や、アドバイスをいただけませんでしょうか?」──とある製造業の二代目社長の方からのご相談です。

後継についての問題は、タイトル通り「二代目後継者は守破離を基本に改革すべし!!!」を徹底していただくことで、ほぼ全て解決します。

お話を伺ってみると、1960年代に先代社長が創業された会社で、昨年二代目社長として代表取締役に就任されたのですが、役員は古参ばかり。経営手法らしいものもなく、従来の家族経営の延長でここまできているとのこと。

二代目社長は大学卒業後、父親の会社と取引のある銀行に就職。5年ほど武者修行した後に、父親の会社に経営企画室課長として入社、経営企画室長、取締役と歴任して、昨年45歳で代表取締役に就任されました。

そもそも取締役に就任してから、いろいろと変革を訴えてきたのですが・・・
会長をはじめ古参の役員は全て「今までうまくいったのだから、無理に変えなくてもいいじゃないか!?」という感じで相手にされず、無力感・疎外感があったのだそうです。

そんな二代目社長が、昨年、代表取締役社長として名実ともに会社の代表になり、今まで進言してきた改革案に着手したのですが、社長としての自分の存在感を示すためにも、失敗するわけにはいきません。

社長自身は強い決意を持って計画を部下に指示・実施させるのですが、二代目社長の意図する活動内容や結果からは、全く程遠い状態が続きます。古参の役員や従業員の中には、「若社長は何を焦っているのだろうか?!」という声だけでなく「別に、今のままでいいじゃないか!」と陰口をたたく者がいるということも、耳に入ってくるそうです。

正直申し上げて、このように二代目社長の頑張りが空回りして、社内がギクシャクする事例は非常に多いのです。

さらに残念なことに、世間的に優秀だと言われるスペックを備えている二代目ほど、このような事例に陥ることが多いのです。

なぜそのような事例が枚挙にいとまがないか、というと・・・
優秀な大学を卒業して、武者修行(?!)として上場企業に就職し、家業の会社に入社して順調に出世・・・、という王道を通ってきた二代目社長ほど、自分の会社を上場企業並みに変革したい願望に囚われるからだ、というのが率直な感想です。

当然といえば当然なのですが、中堅・中小企業と上場企業では組織の建て付けが異なります。
上場企業では、業務分担が部署毎にはっきりしていて、それが更に部署内で各担当者に割り当てられているのです。

その一方で、中堅・中小企業では人員の制約等もあり、各部署・各役職が臨機応変かつ横断的に対応せざるを得ない場合があります。また、最近流行りのDX(デジタルトランスフォーメーション)についても、上場企業と中堅・中小企業では取り組む方法およびその効果が異なります。

それを踏まえた上で一番重要なのは、段階的に変革するための「守・破・離」です。
守破離は、剣道や茶道などで、修業における段階を示したものです。

「守」:師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」:他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
「離」:一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

今回の二代目社長の事例に当てはめると、次のようになります。
「守」:先代社長の仕事のやり方を忠実に守り、確実に実践する段階。
「破」:他の経営者や古参の役員・従業員の意見も聞き、良いものを取り入れ、経営を発展させる段階。

「離」:これまで見聞きしてきたものから離れ、独自の新しい経営手法を生み出し確立させる段階。

勘のいい経営者のあなたならお分かりになると思いますが、失敗する二代目社長のほとんどが「守・破・離」の「守・破」を飛ばして、「離」からはじめてしまうのです・・・

二代目社長の目には、どんなに時代遅れで非効率なことだとしても、これまでなされてきたことには必ず意図や背景があります。それらをきちんと認識することもなく、一刀両断のごとく改革を強行すれば経営どころではなく組織はバラバラになってしまいます。

某大手家具販売店が、お家騒動で迷走した挙句、大手家電量販店の傘下入りしたことを覚えていらっしゃる方もおられるのではないでしょうか?

二代目社長は国立大学卒業後、某都市銀行(現某メガバンク)に入行、3年後に退職し、家業の大手家具販売店に経営企画室長として入社。入社2年後には取締役、その13年後には代表取締役社長に就任。

二代目社長就任後、これまでの経営方針を一変(否定)し、「守・破・離」の「守・破」を飛ばして、これまでの経営方針を一変(否定)するという「離」からはじめたため、会長の怒りを買い、社長就任5年後に一旦解任されます。会社法上の手続きでは、株主総会で選出された取締役で構成する取締役会にて、代表取締役に選出されなかったのです。

この結果に不満な元二代目社長(当時、取締役)が、代表取締役に再度選出されるために、株主の同意を得るための委任状争奪戦(プロキシーファイト)を制して社長に返り咲きます。

当時の委任状争奪戦の状況について、このような新聞記事(緑背景部分)がありました。

「二代目社長は2015年、社長に返り咲くために金融機関、投資家などに対して説明に回ったが、その際の資料は自身が作成したものだった。力作であることに違いはないが、実情は部下がおらず二代目社長が作成せざるを得なかったのだ。記者会見の進行役を社内で探すのにも苦労したという。

そんな空気を社外は知るよしもない。父親や古参の社員が浪花節的な説明に終始したのと異なり、気丈に振る舞い、理路整然と某大手家具販売店の未来を語る二代目社長の姿に当時のステークホルダー(利害関係者)はなびいた。劇場型の親子げんかに、世間は父親から娘への経営権が移ることは時代の流れとみていた。「老いては子に従え」と。」

記事にもあるように、委任状争奪戦の資料も二代目社長自身が作成するなど、社内での協力が得られないものの、第三者である金融機関、投資家などのステークホルダー(利害関係者)を説き伏せ、委任状争奪戦(プロキシーファイト)を制することで社長に返り咲いたのですが、この事実が物語っている「本当の意味」をきちんと認識していただきたいのです。

今回ご相談いただいた製造業の二代目社長には、上記の例をお話しさせていただいた上で「私が何を申し上げたいか、もうお分かりですよね?」と質問させていただきました。

すると「はい。いかに理路整然としていて、第三者から支持を得られるほど正しいことであったとしても、それを押してはいけない。これまで盛業であったのであれば、それなりの理由があるはずであり、それを理解・咀嚼した上でよりよいものとする。その上で、私独自の経営法を編み出していけばいいのですよね。」という模範解答をいただきました。

私がお伝えしたかった意図をしっかりご理解いただけたことが確認できましたので「きちんと「守破離」の手順を踏んでさらに成長する会社に育てる経営者になってください。その間でも、古参の役員・従業員はこれまでやってきたプライドがありますので、リスペクトをお忘れなく。」と申し上げました。

某大手家具販売店の事例は、たまたま上場企業であったために世間に晒され、お家騒動劇場みたいな感じになりましたが、同様の事例は中堅・中小企業でも非常に多く発生しています。

特に優秀な二代目社長が頑張れば頑張るほど空回りして、社内がギクシャクしてしまうのです。

二代目社長の目には、どんなに時代遅れで非効率なことだとしても、これまでなされてきたことには必ず意図や背景があります。「守・破・離」の「守・破」を飛ばして、「離」からはじめたくなる気持ちはわかりますが、「守破離」を基本に改革してください。
「守」:先代社長の仕事のやり方を忠実に守り、確実に実践する段階。
「破」:他の経営者や古参の役員・従業員の意見も聞き、良いものを取り入れ、経営を発展させる段階。
「離」:これまで見聞きしてきたものから離れ、独自の新しい経営手法を生み出し確立させる段階。

あなたが経営者である以上、会社を存続させるために世代交代をしていかなければなりません。
次の社長にどのように経営を引き継がれるでしょうか?

 

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