経営計画が上手くいかない会社に共通すること
同族会社の場合、経営計画がないケースがあります。社長のオーナーシップで全て決定していて、社長のアタマの中にだけ、自社の経営理念や行動指針、数字計画がある…という場合も、少なくありません。
社長一人と数名の会社の段階であれば、ある意味社長のマンパワーで会社が成り立っていますから、しっかりとした経営計画がなくても、なんとかなってしまうこともあります。
ところが会社が成長して、事業規模も拡大していくと、社長だけでなく、全社員の「想い」や「どのような未来を目指すか?」という方向性を意思統一しないと、会社が空中分解しかねません。
同族社長のオーナーシップをより強固なものにし、経営陣と従業員との間に「権限」と「責任」を明確にするためのツールとして、経営計画が必要です。
経営計画は、法律で定められているものではないため、極論をいえば、個々の会社が自由につくって、運用すれば良い…という話になりますが、逆を返せば「答えがないところに、答えを創る」ということになります。
この「答えがないところに、答えを創る」ことが社長業の醍醐味であり、苦悩でもあります。
私は、日頃から「社長業ほど楽しい職業はない」とお伝えしております。
それは、まさに「答えがないところに、答えを創る」のが社長の仕事だからです。決して、楽(らく)ではないし、苦労も多いです。でも、それ以上に、やりがいの方が大きい…と思うのです。
会社経営の中で、社長に一番に求められるのは、「自ら考える」ことです。
「自ら考える」ことが、どれぐらいまで必要かというと、多くの成功者の表現を借りるなら、よく「熱意」と表現されています。
「熱意」というレベルになると、寝ても覚めても、会社のことを考えている状態です。社長は、出勤していなくても、年末年始やお盆休みも、会社のことを考えているものですから、当然と言えば当然です。
大切なのは「悩む」のではなく、未来に向かってどう進むべきかを具体的に「自ら考える」ことです。
それこそまさに経営のトップである社長の仕事であり、社長の責任です。
成功する経営計画に共通しているのは、社長の事業に対する想いや、未来への展望など、いわゆる「ソフト面」を社長自身がしっかりと考え抜いていることです。とにもかくにも、これが全てのベースです。
その上で、実現を支えるための「数字計画」、いわゆる「ハード面」を財務の視点から社長が具体的に考えます。社長に財務思考がなければ、数字で具体的に考えられないため、せっかくの計画も絵にかいた餅で終わってしまいます。
失敗する経営計画に共通するのは、社長が自ら考えることを放棄している、社員に責任転嫁をしているケースです。最初から「ウチの会社には無理」、「そんなこと実現できない」とあきらめていれば、当然実現しません。
過去からの積み上げでしか未来を描いていないケースも失敗する経営計画に共通しています。過去からの積み上げなら、社長でなくても、誰でもつくれます。
何のロマンもビジョンもない、社長の想いも込められていない経営計画、第三者(士業の先生やコンサルタント)に外注した経営計画や、他社の内容を流用した経営計画を社員がみたら、どう思うでしょうか…。
どんなに大変でも、自分の会社の未来は、社長がアタマに汗をかいて考えるしかないのです。急がば回れです。そのための具体的な思考軸として「財務思考」が不可欠なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。