経理がわからない社長に共通する根本的な間違い
「経理や会計がわからないから、会社のお金のことがわからない…。」
「数字に弱いから、会社のお金のことがわからない…」
多くの社長が悩み、苦しんでいらっしゃいます。そして、会社のお金のことがわかるようになるためには、経理や会計を勉強して、数字に強くならなければならない…と考えています。しかし、それは、間違いです。
もちろん、「経理」や「会計」を知っていた方が良いですし、「数字」に強い方がいいに決まっています。しかし、だからといって、会社のお金のこと、つまり「財務」がわかるようになるわけではありません。
実際に、当社には、「経理出身」、「経営コンサルタント出身」、「銀行出身」の社長さんもいます。めっぽう数字に強い社長さんでも、「財務が必要」と考え、当社にご来社くださっています。
なぜ、そのような社長があえて「財務」を習得しようとしているのでしょうか。
それは、本当の意味で「財務」を知っている社長ほど、「経理と財務は全くの別物」「数字に強いのと財務は全くの別物」という事実を理解しているからです。
大前提として、経理は「既に起きたお金の管理をすること」つまり、過去の会社のお金の流れに沿って、日々の取引の記録をしたり、決算書を作ったりすることです。
対して、財務は「これから動かすお金の管理をすること」つまり、会社と社長の未来に向かって、財産管理の実務、お金が残る仕組みづくりをすることです。
例えば、儲けを最大化する損益管理の仕組みづくり、売上も借金も増やすことなくお金を増やすための打ち手を考える、お金を使わずにできる節税対策、金融機関と上手に付き合うための戦略を考えるなどです。
仕事の目線が、経理や会計は「過去」にあり、財務は「未来」にあるという事実を社長は絶対的に知っておかなければいけません。
この事実に気付かない限り、いつまで経っても会社のお金のことはわからないままです。当然、社長と会社にお金が残ることはありません。
上場会社などの大企業であれば、CFO(財務担当役員)を雇って財務機能を持つことができます。しかし、中小企業、特に同族会社の場合は、社長が「財務」の重要性に気付かない限り、「財務不在経営」から脱却することはできません。
同族会社の場合は、ある種「社長一族」と「会社」が表裏一体になっている部分があります。例えば、事業用の不動産や株式を「社長一族」が保有している、「社長一族」や関連会社間で資金を回しているなど、非常にデリケートな問題もはらんでいます。
だからこそ、社長が「財務」を知り磨き上げる努力をしなければならないのです。
「財務を習得するために、経理や会計の知識がないといけないのでは…」「財務を学ぶためには、決算書が読めないとダメなのでは…」と質問を受けることがあります。しかし、答えは、全て「NO」です。
なぜなら、「財務」はあくまでも「未来に向かって社長と会社にお金を残す」ための「思考の原理原則」、つまり、「財務思考」を身につけることにあるからです。
誤解を恐れずに言えば、中途半端に経理や会計の知識があったり、自分は数字に強いという自負があったりするよりも、ゼロベースでスタートした方が過去や固定概念にとらわれないため、財務思考が浸透しやすいものです。
財務思考を身につけるのに必要な要素は、「社長自らが本気で自分の会社の未来に向き合う覚悟」だけです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。