注目のコンサルタント ── 髙窪 祥文氏(3/4)
社内に、「銀行を活用して、次々と新規取引先を獲得する仕組み」を構築する(3)
株式会社 結コンサルティング
代表取締役 髙窪 祥文 氏
~前号からつづく
銀行を活用するメリットとは
白川◉ビジネスマッチングを実施している団体・事業者は様々あると思いますが、銀行活用のメリットとは?
髙窪❖まず、取引先数の多さですね。銀行のネットワークは、非常に幅広いです。
法人・個人問わず、事業を行っていて、口座を持っていない事業者はいないと思います。皆、いずれかの銀行に口座を持っています。
そのため、銀行を用いたビジネスマッチングの場合、対象となる新規取引先数が、圧倒的に多いのが特徴です。
白川◉地方銀行や信用金庫は、メガバンクに比べて案件数が少ないのですか?
髙窪❖単体で見ると案件数は少ないかもしれませんが、昨今では、銀行間の垣根を越えた協力関係を結んでいる例がいくつもありますので、一概には言えません。
また、地域密着系の金融機関独自の良さもあって、企業が飛躍すれば地域の活性化や雇用促進にも繋がりますので、より親身に、熱心に相談に乗ってくれるかなと思います。
白川◉他にメリットはありますか?
髙窪❖銀行からの紹介で面談するということは、いわば〝銀行からのお墨付き〟があった上でのアプローチなので、相手側の対応は全く変わります。
今までは門前払いをされていた様な会社でも「銀行からの紹介なら安心」と話を聞いてもらえ、取引チャンスが生まれます。実際、「銀行から紹介してもらうと、先方の対応が違いますね!」と感動される経営者は多いです。
飛び込み営業がきっかけで面談した会社と銀行からの紹介で面談した会社を比較した場合は、雲泥の差があります。
白川◉確かに、銀行から紹介された会社ならば、という気にはなりますね。
髙窪❖スピード感も違います。以前、ある雑貨メーカーS社の案件に携わりました。 S社は、新たな販売先を得るため、営業代行を活用されていたのですが、中々、思う様な成果を得られず、「このままでは、いつまで経ってもブレイクスルーできない」と、ご相談にいらっしゃいました。
一通りのご要望を伺った後に、通販事業大手のV社をご紹介しました。
面談当日、S社社長は、これまでの営業代行で得た取引先候補に出向いた時と同じく、長時間の面談の後、「検討して、後日ご連絡します」という回答をイメージされていたそうですが、V社から出たのは「よろしくお願いします」という即決の回答。
白川◉私も長らく通販業界に携わってきましたが、そうした例は、中々、聞いたことがないですね。
髙窪❖後日、V社に、なぜ即決したかを聞いたら、「だって銀行からのご紹介案件ですよね」と。
「銀行からの紹介案件」となると、扱いが段違いなんです。事前に社長に報告がいきますし、実質的な決裁権限者とのアポとなるケースが多いので、話が早いです。 また、銀行のビジネスマッチングの場合紹介前に取引条件のすり合わせも行いますので、より時間短縮に繋がります。
加えて、成立後は、設備投資などが必要になる場合も多いと思いますが、銀行側が経緯を把握していますから、融資の審査も早いですね。
白川◉髙窪さんはメガバンク2行、地方銀行1行に勤務経験がおありとのことですがご自身が勤めた銀行以外のアプローチも可能なんですか?
髙窪❖もちろんです。銀行が違っても、スキームには大きな違いはありません。
また、30年以上、銀行業界におりましたので、自分が勤務した銀行以外の状況は把握できていますし、横の繋がりもあるので情報も入ってきます。あらゆる銀行に合わせたアプローチがご指導可能です。
銀行を活用したビジネスマッチングこそ、ニューノーマル時代の営業
白川◉コロナ禍で、新規取引先の獲得に苦戦している会社も多い様ですが、どう捉えていますか?
髙窪❖「コロナの影響で、今期の業績は経営計画通りにいかなかった」「コロナが収まるまでは新規営業は難しい」と聞きますが、経営者として、言い訳をするなんて、あり得ません。今こそ、新規取引先獲得に邁進する時です。
白川◉具体的には?
髙窪❖営業スタイルには様々ありますが、コロナ禍では、直接の面談を極力減らす必要があるため、飛び込み営業のような、足で稼ぐ営業手法は避ける必要があります。
しかし、日本は、最終的な意思決定にかかる場合は「大事な局面では面談で、膝を突き合わせて説明を聞きたい」と考える経営者が多いというデータがあります。
次号につづく
聞き手:日本コンサルティング推進機構 理事 白川 博司