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マーケティング組織は「仕組み」からつくるべき理由

SPECIAL

マーケティング組織づくりコンサルタント

株式会社Marketer's Brain

代表取締役 

 営業および、マーケティング領域において「商い」を、デジタル化し、クライアント企業の業績を急進させるコンサルタント。社内のデジタル化を一気に加速させ、「強いマーケティング組織をつくりだすカリスマ」と称される。クライアントは年商十億円規模から、個人コンサルタントとしては異例の一部上場企業の指導実績も多く、一兆円を超える企業まで幅広く指導。手がけた案件をことごとく成功させ、期待を遥かに超えた成果を生み出すことで絶大な評価を博す。

時折頂くオファーで、初対面の(あるいは良く内情を知らない)企業様から「マーケティング部長を招へいして、事業を加速させようと思っているが、どういう人を雇うべきか分からない。だから、採用を支援してほしい」と言うようなことを言われることがあります。

私は、基本的にこのオファーについては、申し訳無いのですが、すべてお断りしています。

理由は簡単で基本的には「あまり、上手く行かないと思っているから」です。

さて、それは、なぜでしょうか。

サッカーの補強で例えてみましょう。

「リーグ優勝のために、得点力をつけたいから、得点が取れるFWがほしい」と言うニーズがチームにあったとします。この時、企業は当然、FWを育てるか、他チームから引き入れるかのいずれかを考えます。

その際、引き入れを選択したとして、スカウトの持ってくるリストを見て、「元大手1部リーグ所属」「過去に、海外リーグで得点王!」などの文字がならべば、心を躍らせることもあるでしょう。

しかし、もしこの時に「ある要素」がなければ、その補強は、ほぼ間違いなく失敗して(あるいは神頼みの博打になって)しまう事になるでしょう。

それが何かと言うと「戦略と指針」です。

たとえば、同じFWでも、自身がドリブラーで、相手をどんどん抜いていって1人でゴールを決めるタイプもいれば、非常に高身長でヘディングなら絶対に競り負けないタイプなんていうのもいます。

どちらも得点王だったとして、長所と短所があります。前者は低身長だが(だから)小回りが利いてすばっしこく、後者は身長とガタイは良いが、走るのが苦手……だったとしましょう。

と、なるとこのFWが能力を発揮するためには、チームのフォーメーションだったり、システムだったり、それらをサポートするチームメンバー、あるいは戦略の在り方と言うものが非常に重要になってきます。

3トップでサイドからセンタリングをひたすら上げるチームに低身長のドリブラーがいても、空中戦で競り負け続けますし、ゴール前に、ドリブルでなだれ込むような戦術のチームに、高身長のポストプレーをする選手を置いても邪魔になるだけでしょう。

つまり、「優秀」だったはずのFWが、成果を出せない「無能」になるんですね。
(これ、FW(本人)だけのせいにされているケースが本当に多い)

このような状況に陥らないためには、人員を編成する組織(経営層)が、補強を行う前に「どういうチームを作りたいのか」を明確にし、それを実現するための手段を集める必要があります。

つまり、「目的」が先にあって、それを達成するための「手段」としての人員のアサイン……となるはずです。


▼そもそも、マーケターとは「職種」であり「業種」ではない

企業組織においても、この考え方は変わりません。

マーケター……なんていうと、偉そうに聞こえますが、要は、営業、人事、経理、総務、販売スタッフなど…職種と言う意味ではほかと意味は何も変わりません。

実際問題、マーケターが「ひとり」で事業を成す事は不可能です。
結局、他の社員や、外部の事業社と連携して、成果を伸ばしていくしかありません。

ところが、この業界「あの仕事は、私がやった」みたいに、まるで一人ですべてをやった、スーパーマンのように自身をアピールする「残念なマーケター」が悪目立ちするから、経営層のみなさんは、マーケティング人材が特別な存在だと勘違いするわけです。

でも、置き換えるとものすごい滑稽(こっけい)なんですけどね……。
「天才営業が集結!」とか「あの有名企業の経理が語る…」とか、ないでしょう普通。

あれは、マーケターが、自分たちの「地位」を守るために勝手にやっている「ブランディング=マーケターはすごいと思わせるための活動」にすぎません。それをバラすのがパンドラの箱(自分たちの存在否定)になるから、誰も否定しないだけです。

でも、冷静に考えてみてください。
誰の協力もなく、その仕事ができるはずなんかありません。

なぜなら、マーケターとは業種ではなく、職種でしかないからです。

「マーケターとして独立して働いているように見える人」も、業種で冷静に考え直してみれば、「講師業、コンサルティング業、コーチ業、執筆業、講演業……」などと、ちゃんと、違う「業種」に分類できるはずです。

「プロのマーケターとして食っている」と言う言葉は、ある意味では、まやかしです。

だからこそ、企業におけるマーケティング(のみならず、すべての)組織編成は、その人の肩書に踊らされることなく、「(過去に)何をした(何の職種・肩書だった)人?」ではなく「(現在、将来に向けて)何を与えてくれる(どんな業種の)人?」という軸での考え方をすべきです。

大手の企業に、過去に在籍していたからと言って、その人をマーケティング部長候補を招へいしたとして、その人が成果を出せるとは限りません(そして、成果を出せないのは本人だけの責任でもないと言うことです)。

なぜなら、貴社とその会社では、ヒト、モノ、カネ、組織……すべてが違いますし、たとえば「自社の仕組みを回してほしいのか?」あるいは、「自社で仕組みを1から作りたいのか?」で、そもそもの話が変わってくるからです。

そして、そのいずれもが「マーケターひとりで成立する仕事」の訳がありません。


▼「仕組み」→「人間」の順番で考える

それでは、この問題をどうやって解決するのかというと、それは「仕組み」を先に作ることです。

チームとしての戦略、戦術、システムが前提にあれば、招へいを間違える確率は大きく下がることでしょう。

そして、その時は冒頭にあったような、

「マーケティング部長を招へいして、事業を加速させようと思っているが、どういう人を雇うべきか分からない」と言う問題は、そもそも発生している訳がありません(そして、これが私がお断りしていた理由です)。

もし、貴社がこの問題に真摯に向かい合うならば、最初に着手すべきは採用ではなく「戦略と、仕組みの構築」です。自社はどういう会社で、何に強みがあって、どこのピースが欠けていて、どうしていくべきなのか……。

これがあって初めて「採用でこのピースを埋めよう」となるはずで、それこそが正しい「仕組み」と「役割」の関係です。

弊社の生業は、「マーケティング組織(仕組み)づくり」な訳ですが、そうしている理由は「先にこの絵を描く事が重要で、人材とは結局その『あと』から入ってくるものだ」と考えているからです。

私は、自社のサービスを展開する際、よく「マーケターは連れてくるよりも自社の愛社精神が高い人を育てたほうが早いですよ」とお伝えしています。

それは、「貴社の事が分かっている人間の方が、しくみに順応するのが早いから」……というシンプルな話なんですね。知識なんか、後から加えれば良い。でも、情熱の育成や文化へ適応をさせるのは大変です(ちなみに、最先端のメソッドなんかも代理店やベンダーに聞けば、いくらでも教えてもらえます。彼らはそれを売るのが仕事なのですから)。

さきほどのサッカーの例もそうですけど、外部から招へいしてきた生粋のドリブラーに、後からわざわざ「うちのチームはこういう感じだから、君は身長を伸ばせ」とか「筋肉をつけて、競り勝てるようにしろ」とか、無理でしょう。

むしろ長所が死にますよね? それ。

と、言うことで、そのほうが何倍も安上がりですし、結局早い。
遠回りの様に見えて、結局は近いんですね。

それでも処理できないようなスピード感とか、規模感になるなら、その時には、ヒトを採用すればいい。でも、その時には「仕組み」があるから、採用は間違えないんですね。

だから、私は「初対面の企業の」採用サポートだけのお話はお断りしています。
私の業種は「マーケティング組織構築コンサルタント」、その前提となる「仕組み」を作るものだからです。

さて、貴社には、マーケティング組織を強くする大前提。

優秀な「人材」が活躍するための、そもそもの「仕組み」はございますか?

 

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