20年後も変わらない人たち
私がアパレル小売店経営を始めた16年前、会社経営についてのノウハウは全く持っていませんでした。当時独立した理由の一つは、所属していた会社の経営があまりにもずさんだったからで、あのレベルよりはマシな経営ができるだろうと高を括っていたことも事実です。これまでの逆をすれば良い経営ができると単純に思っていました。
といっても、まったく何もしていなかったわけではなく、自分なりに本などから知識を得ていた記憶はあります。ただ、基本我流には変わらず、出たとこ勝負で何とか切り盛りしていた時期が続いていました。しかし、段々と適当に集めた本の知識や自分の浅い経験だけではどうにもならない課題も増えてきます。
そこで「経営の型」ともいうべき体系的な学びの必要性を感じ、その頃に知った中小企業診断士という資格の勉強を始めることにしました。非常に広範囲な試験で、独学での勉強はなかなか苦労しましたが何とか合格し、自分の中に経営の型、判断の軸ができ、同時に自信が出てきたのを感じました。
また、順番として知識から入らず、数年間は試行錯誤しながら実践したことは良かったと思っています。この順番が違えば、単なる頭でっかちの口だけ経営者になってしまっていたかもしれません。
知識と経験が徐々に組み合わさっていく中で、取引先のメーカーやデベロッパーとのやりとりでも臆することなく意見が言え、言いたい放題言われ反論できないストレスがなくなりました。さらに、それまで超優秀だと思っていた取引先等の担当者や幹部の方の仕事レベルが「実はそうでもない」と認識が変わったのも私にとっては収穫でした。
もちろん人によりますが、大半は日々の仕事の忙しさを理由に学びを怠り、10年20年と漫然と過ごしています(私も危うくそうなるところだったのですが)。今では彼らの独立当初からの変わらなさに正直話が合わないことも多々あります。
で、私自身はアパレル小売業を卒業する時だと思っていて、すでにスタッフに店舗を譲る算段を整えています。この点、会社、業界、社会の新陳代謝を促すためにも、自分自身が常に変わっていく必要があると思います。
今回私がもっとも言いたいのは、自分が変わるために最重要なものが「型」だということです。我流の10年20年ではほとんど再現性のない、使えないスキルで終わるでしょう。飛躍するために型を学ぶ。どの世界でもその道のプロフェッショナルが存在します。可能ならば体系化された型を学び、何歳になっても成長する皆さん自身であってほしいと思います。
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