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人は簡単に影響を受ける生き物

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

「人は温かい飲み物を持つと、目の前の人を温かい人だと感じてしまう」

心理学者のタルマ・ローベルは、このような「本当?でも何か心当たりがあるかも‥」と思うような実験結果を著書「赤を身につけるとなぜもてるのか?文藝春秋」にて多数紹介しています。他にも紹介すると、

「スーパーの販売員が客の腕に軽く触れると、商品を購入する割合が上がる」

「交渉の際は相手を柔らかい椅子に座らせると対応が柔軟になる」

「履歴書などの書類は物理的な重さで重要性も増す」

「赤色は頭を使う課題のパフォーマンスを悪化させ、単純な身体的課題のパフォーマンスは高まる」

「赤色を身に着けると女性は性的魅力、男性は支配性が増幅し、お互いを引き付ける」

「Ⅼサイズを頼むと地位が高く力を持つ人とみなされる」

「ビジネスや社交の場で他の人より高い椅子に座ると力関係が有利に働く」

「甘いものが好きな人は感じが良いとみなされる」

以上のような、一見すると本当?というような心理学上の学説が多数あります。そのまま鵜呑みにするのはどうかと思いますが、少なくとも人間の「環境から影響を受けやすい傾向」は感じ取れるのではないでしょうか。上記の結果はいずれも著名な大学等で行われた実験結果によるもので、信ぴょう性は高いと言えます。

このような「傾向」を知った私たちは何をすべきでしょうか。単なる雑学として、ただ頭の中に入れておくのはもったいない。だからといってお手軽ライフハック的な使い方も少し違う気がします。私としては、ビジネス的に使う場合は、相手を打ち負かしたり、顧客をいいように誘導したりすることに使うのではなく、関わる人の満足(あるいは損をさせない)につながるような使い方が一番ではないかと思っています。

例えば、販売員に対して「購入率がアップするので今度からお客様の腕に触れなさい」というのは、私はあまり好ましくないと考えます。それがお客様にとって必要な商品で、必ず役に立つ商品なのに迷われている場合など、こちらから背中を押した方がよい時、自然な形で取り入れるのはありだと思います。

あるいは履歴書などの提出書類も、相手から無意識のうちに紙質や重さで周囲に比べ不利な判断をされないために当人に助言するのはいいと思います。これを単なるテクニックで重くしてしまうのはまさに本末転倒、すぐに相手に見抜かれ逆効果となるでしょう。

結局、ノウハウやテクニックなどの「やり方」が先に来るのではなく、自身の想いや価値基準などの「あり方」が土台になければ、小手先のテクニックはすぐにメッキが剥がれるのです。その人の本質はどんなにお化粧してもにじみ出てくるものです。

人は短期的には、上記学説のように環境からの身体的認知で影響を受けやすいのですが、長期的には当然修正をします。今日紹介した「人間の傾向」はあくまで短期的な影響として理解し、上辺だけの知識で変な使い方をしないようにしましょう。でないと自分自身が損をすることになります。

 

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