絶対つぶれない会社をつくるために経営者のあなたがやるべきこと
「コロナ禍がいつ収束するかもわからない状況が続いており、今後の経営を考えたときに、どう乗り越えていけばいいのか不安で堪りません。従業員やその家族の生活も守らなくてはいけませんので、絶対つぶれない会社をつくりあげたいので、ご協力いただけませんか?」── いつもエネルギッシュに活動されている経営者の方からの協力依頼です。
このコロナ禍で、これまでの取引先からの受注が減少してきており、このままだとあと3年ほどでこれまで蓄積してきた現金を使い果たしてしまう。できれば半年、遅くても1年以内にはつぶれないと確信できるような状況にしたい。そのためなら、経営者として何でもやる覚悟を決められているとのこと。
私から、「あと3年も持ち堪えることができるなんて、これまで素晴らしい経営をされてきたのですね。ご認識のとおり現金の枯渇=倒産となります。このため、減少してきている受注を新規取引先獲得でカバーしましょう。また、今後の状況変化に備えて、コミットメントライン等での事業資金も確保しておければ更に安心感が増します。」とお答えしました。
この経営者の方のように、3年も持ち堪えることができる企業は極めて稀だと思います。一般的には、1年程度持ち堪えることができれば上出来ですので、早急に減少している受注を新規取引先獲得でカバーしなければ、現金が枯渇=倒産してしまいます。
また、コロナ禍のように収束時期がわからない混沌とした状況が続くと、経営者としての判断をするときにブレたり、従業員の方々との現状認識・今後の対応などで意思疎通がうまくいかない場合が多くなりがちですので、会社の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を明確にして従業員の方々にキチンと共有しましょう。
「マネジメント」の重要性について
この「ミッション」「ビジョン」「バリュー」はもともと「マネジメント」の発明者として知られるピーター・F・ドラッカー氏が提唱したものです。ドラッカー氏の提唱後この考え方は多くの企業に広まり、企業理念や経営理念、行動指針などに活用されて業績向上に活用されています。
(1)「ミッション」とは
ミッション(Mission)はもともと「使命」という意味で、経営理念や企業理念におけるミッションは「企業が果たすべき使命」となります。つまり企業が何を目的に事業を遂行しているのか、何のために社会に存在しているのかを表すものがミッションです。
(2)「ビジョン」とは
「ビジョン(Vision)」は「展望」という意味ですが、経営理念や企業理念においては「企業として将来どんな展望があるか」「この先どんな企業になることが理想か」を表します。「ビジョン」を掲げることでゴールとなる理想の会社像を共有できれば、すべてのメンバーが同じ目的をもって仕事ができるようになります。
(3)「バリュー」とは
「バリュー(Value)」とはもともと「価値」という意味ですが、「企業や組織で共有すべき価値観や方針」という定義が一般的です。どんな価値観で働くべきかを具体的にまとめた行動指針や行動規範などを「バリュー」として表すケースも多いです。
コロナ禍のように混沌とした時期には、組織のメンバーが同じ目的、方向性を持たないと、バラバラなことをしてしまいますので、会社全体のマネジメントが難しくなります。現在は企業のグローバル化が進み、社員の人種や国籍も多様化していることに加えて、働き方や働く目的なども人によって多様化してきています。組織内メンバーの多様化が進む中でも、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」によって目標や行動指針が明確になっていれば、経営者としてマネジメントしやすい環境を整えることができます。
実際に「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が社内で共有できていれば、業務の目的や目指すものが明確になります。さらに仕事を実践する上での行動指針もあるため、細かい指示を出さなくても従業員ひとりひとりが判断できるようになります。その結果従業員のモチベーションが上がり、成長につながることがこれまでの経験でわかっています。
仮に、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が従業員に浸透していないと、常に経営者であるあなたや部門長に意見を聞いたり判断を仰いだりすることが増えてしまいます。このような状況では従業員のモチベーションが下がるだけではなく、事業を進めるスピードが落ちることで更なる業績低下につながる可能性も出てきます。
現金の枯渇=倒産
当たり前のことですが、倒産するときは、お金がなくなったときです。
コロナが発生してから、持続化補助金などの支給や既存借入のリスケジュールなどで、一次的に足元の資金は確保ができたため一息ついた企業がほとんどでした。このため、コロナ発生時点での倒産は逆に減少しています。
ご参考:各種支援策:経済産業省HPより
ちなみ、帝国データバンクの倒産集計一覧2021年5月分では、次のように報告されています。
■倒産件数は461件(前年同月比60.1%増)と、依然として件数自体は低水準なものの、前年同月比は反動増
■負債総額は1664億4700万円と、大型倒産が発生し前年同月比134.0%の増加
■負債額最大の倒産は(株)東京商事(東京都、特別清算)の約1004億8300万円
■業種別にみると、全業種で前年同月を上回った。全業種での増加は2019年9月以来20カ月ぶり。建設業(84件、前年同月比133.3%増)は9カ月ぶりに増加。小売業(100件、同51.5%増)では飲食店(49件)が6カ月ぶりに増加。不動産業(29件)は5カ月連続の増加
そして、コロナウイルスが中国で最初に確認されたのが2019年12月、ダイヤモンドプリンセス号でのコロナ感染確認されたのが2020年2月。
企業の資金繰りを支えた実質無利子・無担保の特別融資について、融資ピークの2020年6月に返済猶予期間1年で導入した借入金の返済がスタートしており、この返済がキチンとできるかが今後試されることになるのです。
ゆっくりと時間をかけている場合ではありません。経営者としてマネジメントをしやすい環境を整えるためにも、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」により、目標や行動指針を明確にするとともに従業員の方々と共有しましょう。そうすることで、経営者であるあなたを筆頭に全従業員が一心同体となり、事業活動にあたることができるようになります。
素敵なことだと思いませんか?経営者であるあなたが決めた「ミッション」「ビジョン」「バリュー」が全従業員に共有されて、一丸となって事業活動に注力し、実績を積み上げていく。これこそ、経営者の醍醐味だと思います。
新規取引先は収益の源泉であり、常に獲得する必要がある
コロナ禍の影響で売上が減少している場合は当然ですが、売上が順調に伸びている場合でも新規取引先獲得に注力する必要があります。何故ならば、現在の取引先だけだと、長期的には売上が減少してしまうからです。
実際に取引先毎に売上の推進を集計していただくと、私が申し上げたいことがお分かりになると思います。一部には、順調に売上増加している取引先があったとしても、大部分は売上が減少傾向にあるはずです。
時代のニーズ変化や取引先の取扱商品・サービスの変化などで、これまでと同じものでは取引額が少なくなるのは必然です。これらに対応するために新商品・新サービスの開発も必要となります。
そして、常に売上増加を達成するために、新規取引先を獲得していく必要があるのです。既存取引先の落ち込みのカバーだけでなく、更なる売上増加を達成しなければ、絶対つぶれない会社をつくることはできません・・・
私も、これまで様々な経営者の方と関わってきましたが、絶対つぶれない会社をつくりあげた経営者の方々に共通しているのは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」により、目標や行動指針を明確にするとともに従業員の方々と共有されています。経営者としてマネジメントしやすい環境を自らつくり出しているのです。
コロナ禍のように極めて困難な状況下において、その困難を楽しみ、乗り越えた先のことをワクワクして挑戦することこそ、経営者の真の醍醐味なのです。厳しい状況下で難しいと思いがちなことを、マネジメントしやすい環境を整えることで、いかにして全従業員を巻き込むことができるかどうかがポイントなのです。
あなたの会社の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」はは何ですか?
経営者としての醍醐味を味わい尽くすために、マネジメント環境を整えつつ、「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」という、「三方よし」の経営をご一緒に実現させましょう!
コロナ禍だから難しい、コロナ禍だから仕方ないではなく、このように閉塞感が強い状況だからこそ、経営者であるあなたが絶対つぶれない会社づくりに挑戦をしてみませんか?
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