社長がアクションを起こすことの意味―行動しなければ何も始まらない―
アクションを起こそう
私はこれまでコンサルタントとして或いは会計事務所のトップとして、多くの中小企業を見てきましたが、成功している企業とそうでない企業の間には、たった一つの決定的な違いがあることに気がつきました。
それはいったい何でしょうか。
それは「行動」(アクション)の一言に尽きます。
「行動」即ちアクションを起こすか否か、これに尽きるのです。
経営者がなにかしらの「行動」を起こし、動きに動いたにもかかわらず、惨敗に継ぐ惨敗を喫した、という事例を少なくとも私の経験からは知りません。「行動」を起こした経営者だけが成功に近づくのであり、今の世の中、何もしなかったのに偶然うまくいった、という話はあり得ないのです。
と、書き始めたにもかかわらず、一つだけ、「これは違いますからね。」という例外を初めに示しておきます。
それは
「俺は朝早くから遅くまで現場で一生懸命働いている。それにもかかわらず、ちっとも売り上げは上がらないし儲からない。」
と言われる経営者です。それは私の申し上げる「行動」を起こしているのではなく、単にこれまで通りの「労働」を繰り返しているだけのことです。
もっと言えば、「作業」を繰り返しているにすぎません。
私は、中小企業とはいえ、「経営者」にモノ申しているのであり、いち労働者に意見しているわけではありません。経営者が一人の雇用労働者と変わらない仕事をしているのであれば、私のお話は全く届かないということになります。そこのところは理解しておいていただきたいのです。さて、最初にそこの違いだけ押さえておいて「行動」のお話に戻りたいと思います。
先日、インターネットで或るビジネス番組を見ていたら、一人の経営者が面白いことを言っていました。それは
「この違いがわかっていない人が多いのですが、「知っている」ということと「できる」ということと「やる」ということの間には決定的な違いがあるんですよね。「知ってる」「できる」までは、いくらでもいるんですが、「やる」という人は本当に少ないです。やった人だけが何かを掴むことができます。」
この発言を聞いていて私は「全くその通りだな。」と思いました。
つまり彼の言うように「行動」を起こす人は、極めて少ないのです。
とはいえ、順番は大切です。
上記の経営者の言葉で説明すれば、まず確かに「知っている」ということは、必要不可欠です。
いわゆるインプットとして、現代の経営に必要な知識は仕入れておかなければなりません。多くの情報が錯綜している世の中ですが、その中から自分の事業にとって必要なものを、的確にチョイスする必要があります。
そのチョイスが難しいのではないか、と思われるかも知れません。しかし、まじめにインプットに取り組んでいる経営者が、その方向性について大いに迷い間違ったチョイスをする、ということがあるでしょうか。
経営者という立場であれば、自分の事業に関する専門性は既に持っているわけですから、何か選ぶにしても「大外れ」ということはないと思います。
例えば、業務のデジタル化というのは、世の中の大きな流れとして既にあります。その中から、自分の事業に必要かつ相応しい知識や技術、手法といったものを選べばいいのです。このチョイスにおいて、それなりに考えてきた経営者が大間違いするとは思えません。わからなければ、それに詳しい専門家や強い世代の人間の意見を謙虚に聞けばいいのです。こう考えてくれば「知っている」について、全く関係のない的外れな知識ということはあり得ません。
とはいえ、次の「できる」との間には若干のハードルがあります。
「これはいい!」と仕入れた知識、即ち「知っている」の状態になったとしても、状況によっては「できる」とは限りません。
例えば私が素晴らしい「会計データ分析ソフト」の存在を知ったとして、ぜひそれを取り入れたいと考えたとします。しかし、それを使いこなす能力が私の事務所になければ、取り入れることはできないのです。組織的に「できる」状態にするか「できる」範囲のものを取り入れるしかないことになります。
ただ、大抵の場合、自社が取り組んできた専門分野かそれに近いものであればなんとかなるものです。
全く歯が立たないということはないと思います。仮に、自社の力量が「できる」に必要なレベルの半分以下だったとしても、導入プロセス、仕組作りなど工夫をすればなんとかなるはずです。
「できる」に至らないのは、むしろ、次の「やる」との関連性が強いのではないでしょうか。
さて、「知っている」と「できる」がクリアされたとして、次の「やる」はどうでしょうか。前提条件としての「知っている」と「できる」がクリアされていれば、「やる」へのハードルは大して高くはないように思えます。とにかく「やればいい」のですから。実際、論理的、客観的に見れば、決して高くはないはずなのです。
しかし、現実にはここで実践者の率はガクンと落ちます。何故でしょうか。ここにおける論理的裏付けを私は知りません。
とにかく現実問題としてガクンと落ちるのです。
あることを「知り」、それが自分や自分の事業にとって必要でありプラスに働くことがわかったとします。そして、それをやろうと思えば「できる」ことも確認できた。
・・・・でも、人はなかなか「やらない」のです。
何故でしょうか。
おそらくこれは、「知っている」と「できる」までは自分の頭の中で完結することが可能であるが、「やる」というのは、自分の肉体及び周りを実際に動かしていく必要性が出てくるから、ではないかと考えられます。
つまり、「知っている」と「できる」までは、基本的に外部との接点は起こりません。
しかし「やる」というのは、多かれ少なかれ外部との接点、即ちなにかしらの「摩擦」が起きることになります。
特にそれが仕事に関する場合、行動を起こせば外部との「摩擦」は避けられません。
人はおそらくこの「摩擦」を本能的に嫌う、或いは避けようとするのではないでしょうか。
つまり、場合によっては面倒なことになりかねない、と。しかし、それを避けていたのでは何も掴めません。何かを変えるには行動を起こすしかないのです。
例えば、私がお勧めしている「情報発信(アウトプット)」について、その重要性を否定する人はほとんどいません。
特に現代社会のビジネスにおいてそれが必要なことは皆さんわかっているのです。
しかし、それを実際に行なう人は極めて少数です。
「知っている」と「できる」までは、確認できるはずなのですが「やる」人は少ないのです。
ただ、「情報発信(アウトプット)」が他と違う点は、それほど周りを巻き込む必要がない、ということです。
ほとんどの場合、社長が行動を起こせば済む話になります。
その点、他の「知っている」と「できる」よりは「やる」にアプローチしやすいのです。
「情報発信(アウトプット)」に限らず、自分の事業について「やるべきこと」は、いろいろとあるのではないかと思います。是非「知っている」と「できる」を超えて「やる」に到達していただきたいと思います。
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