高収益体質に不可欠な財務中心思考
先日、ある経営者仲間の会合でお目にかかった70代のオーナー社長さんの一言です。
「たてのさん、日本の中小企業の約7割が赤字経営って言われていますよね。でもね、私は、そもそも根底に社長自身の姿勢にも、大きな問題があると考えているんですよ。」
そのオーナー社長さんは、とても70代には見えないぐらいに元気溌剌で、まさに太陽のようなお人柄だったのですが、よくよくお話を伺ってみると、その社長さんの会社は「市場規模が縮小均衡傾向にある衰退産業」と、まさに苦境が叫ばれている業界でした。そんな厳しい経営環境下にありながら、高粗利・高収益を叩きだしているとのこと。
このオーナー社長さんも、いわゆる下請企業ならではの苦しい時代をご経験された結果、「このままではいずれ経営が立ち行かなくなる。いつまでも相手に主導権を握られたままでは経営が安定しないし、自分の代で会社をたたむことになりかねない。」と痛感したそうです。
そこで、一念発起をして、下請型の事業構造を卒業し、自社の強みを徹底的に磨きあげることを決断されたそうです。その時の状況を例えるならば、「美味しくない砂糖に群がるアリ」と自社のことを笑っておられましたが、今では「美味しい砂糖を自ら作り出せるアリ」です。
このオーナー社長さんが自社の事業構造を大きく転換することができたのは、いうまでもなく、「自社の現状を数字で正しく把握することができたから」です。自社の現状を客観的な目線で冷静に判断することができたからこそ、大きな決断を、勇気を持って下すことができたのです。
もし、このオーナー社長さんに「正しい経営判断を下すための経営のモノサシ」がなかったとしたら、どうでしょうか?
きっと今でも、「いつも忙しいのに、なぜかお金が残らない・・・」いつまでたっても漠然とした会社経営にまつわるお金の不安を払拭することが出来ず、抜本的な経営改善に繋がる「次の一手」を打つことはできなかったことでしょう。
社長にとって最も重要な仕事は、「自社の経営状態を正確に認識した上で、将来を見据えた正しい経営判断を下すこと」にあります。
自社をとりまく環境がどのように変化し、その結果自社の月次損益の状況がどのように推移しているのか・・・、業績低迷の原因を安易に外部要因と決めつけることほど危険なことはないのです。
もし、あなたの会社が「売上減少」や「コスト増大」などで厳しい経営環境下にある、あるいは、今後そのような状況になりつつあると感じられているのであれば、その根本原因をしっかりと分析して善後策を練らなければならないのです。
あなたは、自社の現状を正しく認識していますか?
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