世界は社長を待っている!―パーソナルメディアとしての独自情報が貴重な時代―
今に始まったことではありませんが、少し不思議に思われたことはありませんか。
それは、テレビがユーチューブなどの動画を集めて一つの番組を作り、放映していることです。
本来テレビは、それらの動画にあるような珍しい映像やトピックス、世界のニュースなどを取材してきて、そういったものにじかに触れることのできない聴取者に提供する役目だったはずです。
それを、ほぼ素人が撮ったと思われる映像を拝借して編集し、番組として放映するなど、当初まさにテレビの敗北なのではないか、と私は思いました。
そういった映像は、テレビを通してでなければ見られないものではなく、PCやスマホが手元にありさえすれば誰でも見ることができるからです。
つまり、テレビはより面白そうな画像をピックアップしてきて、テーマごとに或いはジャンル別に整理編集して提供しているに過ぎないことになります。
これらの動画を放映しながら、スタジオに集めたお笑い芸人などやタレントに突っ込みを入れさせたり、驚かせたりすることで作られた番組は、おそらく制作費用もそれほどかかっていないでしょう。
この安直な番組作りを見ていて、私は「テレビの敗北」という言葉が頭に浮かんだわけです。
こういった現象は、上記のようなケースに限らず、すでに構造的なものとして蔓延しているのではないでしょうか。この現象についてコラムニストの小田嶋隆氏は日経ビジネスの誌面で次のように述べています。
― ワイドナショーがスポーツ紙の記事をパネルに貼り付けてシャクを稼いでいる一方で、そのネタ元のスポーツ紙と言えば、テレビの感想を書いたツイッター有名人のつぶやきをそのまま文字化している。いまやあらゆるメディアが独自取材から撤退していることが退廃の根本にある。―
つまり、テレビにしろ新聞にしろ、メディア全体が「多重孫引き検索の引用からなる記事」で埋め尽くされていることになるのです。
これでは、多くの聴取者や読者がマスメディアから離れていくのは無理もありません。
しかしこうやって、安直な番組や紙面を作っていれば、ますます聴取率は下がり発行部数も落ちてきます、そうなったメディアは、広告収入なども減ってくるでしょうから、ますます独自取材などに予算を割けなくなります。そうすると、さらに低予算の面白くもない番組や記事を提供せざるを得なくなる、といった悪循環に陥っていくことでしょう。
こういった構造的課題を克服できなければ、メディアの衰退は止まらないのではないでしょうか。今のところ、メディア側にその歯止めの有効な手立てがあるようには見えません。
さてそうなると我々は、有益な情報を得るための自衛手段として何をすればいいのでしょうか。私の場合、多くの情報をネットから得ています。PCの立ち上げ画面から見られるニュースの一覧をざっと見て、興味をひかれた記事があればそれを開いて読みます。さらに深掘りしたければ、キーワードを検索して、できるだけ1次情報に近づくようにしています。似たようなアプローチをしている人は多いのではないかと思います。
スマホから得る情報で最も多いのは、「チャンネル登録」しておいたユーチューバーが日々あげてくる動画を見ています。
正確には、移動中の車の中で聞くことが多いので、動画を見るというよりは聞いているといった方が正確かも知れません。
もちろん、ユーチューブの情報も玉石混合で、中には劣化していくものもありますので、ときどき「チャンネル登録」を入れ替えることも怠りません。
このユーチューブに限らずネット配信の中で、やはり面白いのは独自取材をしてきた1次情報ということになります。
或いは生の1次情報にできるだけ近い情報ということになります。
バイアスのかかる前のこういった生に近い情報は迫力がありますし、信憑性も高いと言えるからです。
誰しも、その人に与えられた時間というのは、平等なものでかつ限りがありますので、どう使うかは大事な選択になります。
残念ながらマスメディアが提供する情報が低品質で信頼性に欠けるものだとすれば、そこに使っている時間はありません。
様々な選択肢と選択権はこちらにありますから、情報ソースとして選ぶのはできれば高品質で信頼性の高いものになるのです。
中でも1次情報というのは、料理でいえば素材になりますので、それを受けた側のその後の判断が大事になってくる貴重な基礎資料ということになります。
さてここまでは、いうならばインプットの話です。巷にあふれる情報の提供者やその質や信頼性が随分様変わりしてきたと書いてきました。その中で、マスメディアの提供する情報がどんどん劣化しつつある今、個人の発信する1次情報に注目が集まっています。
玉石混合とはいえ、ちゃんと選別すれば、良心的な1次情報を愚直に発信(アウトプット)している人もそれなりに数はいます。
ところで、こちらがそういった選別をしているということは、立場を変えて発信者側になったとしても、同じような基準で選んでくれる人はいるはずです。
といったことを想定して「社長も発信者側になりませんか。「情報発信(アウトプット)」を始めてみませんか。」というのが私の提案なのです。
今回述べてきましたように、テレビにしろ新聞にしろ、そのネタ元にSNS等のデジタル媒体を通じて得た情報を使う機会が増えてきました。
それは、ほぼ個人が発信する1次情報であり、それがありがたがられる時代になってきたのです。
もちろん、メディアが取り上げる前に、多くのユーザーが直接見ているわけですから、その影響の大きさは計り知れません。
メディアというちょっと敷居の高い媒体に乗っかるのは、これまでそう簡単ではありませんでしたが、これからは自身の発信するパーソナルメディアとしての世界を構築することが可能なのです。
しかも、きちんと良心的に、自分の経営者としての見解なり専門性なりを発信していけば、それは独自性を持った1次情報として好意的に受け止められるはずです。
この、恵まれた環境を利用しない手はありません。
社長の1次情報発信は、「世間が俺を待っているんだ。」というくらいの気持ちを持って、取り組んでみてください。
一定期間、がんばって続けていれば、必ずいい結果が得られるはずです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。