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社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

最近、クライアント以外でも事業計画作成支援に携わることが増えています。その中でさまざまな分析を行うわけですが、分析には既存のフレームワークも当然使います。例えば、PESTや3C、7Sや5forces、SWOT等…。これらは現状を整理するにはかなり使い勝手の良いツールで、特に情報の抜け漏れを防ぐことに相当力を発揮します。

ところが、こういった分析にあまり協力的ではない経営者の方もいらっしゃいます。「○○分析なんかやってもムダ」「この間も同じようにやったけど全然意味がなかった」などなど…。まあ言いたいことはわかります。例えばSWOT分析の強みや弱みと言っても相対的なものですから、置かれた立場や時期によって逆転することは当然ながらあり、「こんないい加減なもの出してなんか意味あるの?」ともなるでしょう。

加えて、分析そのものが何かを生み出すわけでもなく、その後につながる打ち手を考えなければ分析することに意味はありません。以上のようにそもそも分析自体がうまくできていない、あるいは分析はできていても提案もなくそこで終わりだと「で、だから何?」となり、分析なんかしても時間のムダだと言いたくなるのも理解できます。

ただ、繰り返しになりますがフレームワーク自体は使えますし、使い方次第では企業にとって武器にも防具にもなりえる良いツールだと私は思います。普通ならここからツールの使い方にフォーカスする流れになりますが、今回はそうではなく、心理的な側面から効果を上げる方法を考えていきたいと思います。

「プラセボ効果」という言葉をご存じの方も多いと思います。本来は効果のない偽薬でも「効果がある」と信じて服用すると何らかの改善効果が得られることです。「頭痛に効く」と言われて飲んだ薬は実は単なる小麦粉でも、実際に痛みがなくなる人は3割に上ると言われています。

まさに信じる者は救われる。人間の体は不思議なものです。薬効成分は何も入っていないのに症状がなくなってしまうのですから。

一方、分析がムダだと思っている経営者の方はプラセボ効果とは逆のノセボ効果(処方者への不信感があり、薬が有害だと思い込んでいる場合は効果が減少し逆に悪い影響を与える)が働いています。

そんな経営者の方に対しては、まずは分析(コンサルタント)への不信感を取り除く必要があります。不信感を取り除くには、当たり前ですがその人自体が信用してもらわなければなりません。「この人の話は聞く価値がある」と思ってもらうことです。

そのための一番の方法は「とことん話を聴く」ことです。他社の成功例を伝えることではありません。時間をかけて話を聴き、信頼関係を築くことが最優先事項です。多くの経営者の方々は、コンサルタントはろくに話も聞かず、上から押し付けるようなイメージを持っています。その状態ではいくら言っても何も変わりません。

信頼関係が築かれれば、これまでと同じことをアドバイスしても結果は見違えるようなものになります。これは経営者や幹部が社員に対して接する時も同様です。アドバイスの効果を最大限発揮させるには、内容を磨くよりも先に信頼関係を構築すべきなのです。

お互いに信頼できていれば、プラセボ効果と同様、偽薬ですら効果があります(悪用はダメです)。本物の薬であれば効果はてきめんとなり、倍以上の効果を発揮するでしょう。

経営者、コンサルタントともに、分析ツールの使い方を磨くのも大事ですが、それよりも信頼関係を築くことが成果を上げる第一歩だと私は思います。人間の「信じる力」は何よりもいい薬となるのです。

 

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